サプライチェーン改革も推進
基幹系システムを昨年2月に刷新しました。これも社内改革の一環ですか。
基幹系システムは四半世紀にわたり使っていましたから、相当老朽化していました。ですから改革とは別の話ですが、顧客満足度の向上など改革のなかでやりたいことを実現できる情報基盤を再構築しました。既存のシステムは古すぎて、構造的に顧客のニーズに対応できなかったのです。
再構築の結果、納期回答を大幅に短縮できたそうですね。

はい。ただ、これは終わりのない取り組みです。新たに3年かけて推進しているのが、サプライチェーンの改革と、CSIつまり顧客満足度の向上です。
サプライチェーンの改革は、在庫の持ち方から、それに伴うシステムの改善、短納期の出荷に対応できるようなロジスティクスの構築などです。当社の場合、営業所ごとに在庫を持っているのですが、そうした在庫を一元管理し、共通在庫として見える化することを目指しています。
CSIでは、いろんな部門にまたがる情報のパスを短くすることで、より短時間で顧客対応ができるようにしたいと考えています。例えばサンプルを要求された場合、従来はいくつかのシステムにまたがって処理していましたので、結構時間がかかっていました。これをシステム面などの改善により、タイムリーなサンプル提供ができるようにしていきます。
システム再構築は投資対効果が見えにくいとして、ためらう経営者も多いようですが。
システムはビジネスの基盤です。システムが駄目だとすべてが成り立ちません。その意味で、システムを再構築するのは、お金がかかるからどうのという話ではなく、ビジネスの基盤そのものを作り直すことです。やらざるを得ないということです。
IT部門に対して、経営トップとしての注文はありますか。

今のIT部門は、自分たちで業務の無駄を見つけて、システムで改善しようとしてくれていると思います。それでも結構積み残しの案件がありますので、常に先を読み、現場と一体となったIT化を進めてほしいですね。
グローバル展開を進めていく上で、システムやIT部門に課題はありませんか。買収した海外企業と本社のシステム統合がうまくいかないケースをよく聞きます。
実は、既にIT部門の人員の4割は海外にいます。中国の無錫では本社業務を担うIT要員を抱えています。その意味でIT部門は、海外展開の土台ができているといえます。もちろん当社もM&Aを実施していますので、そういった悩みがないわけではありません。
ただ、これはITだけの問題ではありません。買収した企業を統合する際には、仕事の流れを変えないと駄目なので、むしろ現場の課題です。ですからIT部門にはあまり文句は言いません。もちろん、IT部門が主導権を取って推進してほしいと期待はしています。
村田 恒夫(むらた・つねお)氏
(聞き手は、木村 岳史=日経コンピュータ)