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 クライアント管理ソフト「Kaseya」を手がけるスイスのKaseyaは2011年6月20日、日本法人のKaseya Japanを設立し、製品の国内販売を開始した。オンプレミス型(売り切りと月額制)に加えて、SaaS型(月額制)も提供する。Kaseyaの特徴は、資産管理/ソフトウエア配布やリモート操作などクライアント管理に求められる主要な機能を一通り備えることに加えて、クライアントPCの故障を防止/修復するための機能を提供する点である。来日したExecutive Vice President兼North East Asia担当General ManagerのJohn Fargis氏に、クライアント管理の機能動向について聞いた。

(聞き手は日川 佳三=ITpro


クライアント管理の需要に変化はあるか。

スイスのKaseyaでExecutive Vice President兼North East Asia担当General Managerを務めるJohn Fargis氏(写真右)と、Kaseya Japan社長の北原信之氏(写真左)
スイスのKaseyaでExecutive Vice President兼North East Asia担当General Managerを務めるJohn Fargis氏(写真右)と、Kaseya Japan社長の北原信之氏(写真左)
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 以前は、クライアントPCを販売するベンダーが、クライアントPCを管理するソフトやサービスを提供していた。ところが、こうしたハードウエアが汎用製品(コモディティー)となり、ベンダー以外の第三者による運用管理ソフトやサービスの重要性が増した。

 現在では、クライアントPCをトラブルなく使い続けられるようにする運用管理サービスが、一つの市場を形成している。運用管理サービスの専門業者であるMSP(マネージド・サービス・プロバイダー)は、SLA(サービスレベル契約)を結んで、クライアントPCの可用性を保証している。

 日本では特に、クラウドサービスの登場によって、みずからサーバーを保守する必要がなくなりつつある。運用管理の対象がサーバーからクライアントへとシフトし、クライアント管理にフォーカスするようになってきている。

SLAによる可用性の保証は、サーバー監視・管理の領域に思える。

 運用管理ソフトや運用管理サービスがないと、クライアントPCは故障したり、トラブルが発生したりして、使い続けられなくなる。実際に、クライアントが故障しないようにサポートするMSPが北米にはたくさんある。クライアントPCの可用性に着目することは新しいビジネスチャンスであり、多くの企業がKaseyaの真似をし始めている。

 Kaseyaでは、IT運用の自動化によって、クライアントPCの可用性を高める。具体的には、クライアントPCの上で発生するトラブルの予兆を捉え、プロアクティブに対策をとり、トラブルを未然に防止する。仮にトラブルが発生した時は復旧する。ディスク障害を復旧するなど、発生し得るトラブルのユースケースごとに、1000を超える管理スクリプトを用意している。

PCの設定などIT運用の自動化が役立つ例は。

 オーストラリアの事例では、盗まれたラップトップPCをリモート操作して、内蔵カメラで盗人の顔写真を撮影し、警察に提出した。ラップトップPCに入っているエージェントソフトがサーバーに接続するので、このコネクションを利用してリモート管理が可能だ。このように、システム障害の検知・復旧に加え、リモート管理機能などを併用することで、クライアントPCが正常に動作する時間(アップタイム)を維持できる。

 クライアントに対する設定の自動化は、各種の業界で有益だ。業種別では、複数ベンダーのPCやPOS端末が混在する小売業界など、クライアント管理負荷が大きいケースなどに向く。また、大学や病院など、1台のクライアントPCを複数のエンドユーザーが利用するケースでは、クライアントPCの設定と状態を、ある時点の設定と状態に戻す機能が求められる。Kaseyaは、この機能も備えている。

機能のロードマップは。

 現在の主な機能は、インベントリー管理/ソフトウエア配布、パッチ管理、リモート操作/遠隔サポート、トラブルチケット・ベースのヘルプデスク、クライアントPCの稼働状況監視、データバックアップ/リストア、ウイルス対策/マルウエア対策、SNMPネットワーク管理、など。2011年9月にはMDM(モバイル端末管理)機能を提供し、クライアントPCに加えてスマートフォンを管理できるようにする。

 今から2~3カ月前には、スウェーデンのIntellipool ABを買収し、エージェントレスのネットワーク管理/ファイル管理機能を入手した。現行版はスタンドアロンで動作するソフトウエアだが、次期版からはKaseyaのソフトウエアに統合する予定だ。

 今後も、必要な機能があれば、自社開発だけでなく買収やOEM(相手先ブランドによる生産)供給を受けて強化する。現在でも、マルウエア対策は米Malwarebytes、ウイルス対策はロシアのKaspersky Labs、バックアップは米Acronisのソフトウエア技術のOEM供給を受けている。