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吉永 泰之氏
写真:陶山 勉

 業務を一本にまとめたことで、我々もびっくりするくらいの成果が出ました。近畿ではディーラー同士が物理的に近いところにあるので、各社の間接部門の人を大阪に集めました。そうしたら、元の大阪スバルの1.2倍の人員で業務ができることが分かりました。

 近畿の成功があったので、他の地域のディーラーも“まね”をしてくれました。実は当初、かなり抵抗がありましたが、あまりの効果に、抵抗は消えてしまいました。今、ディーラーは本当に元気です。それがうれしい。何と言っても、それぞれ億単位で利益を出していますからね。

営業改革の実現に向けて、情報システムはどのような役割を果たしたのですか。

 業務改革の成果が出たので、今度は「PARTNER-21」と呼ぶディーラー支援システムを新しくしようということで開発を進めています。これまでITでいろいろとトライしてきたのですが、今回は業務の集約化をシステム化より先行させました。結果として、これが正解でした。

 ITによる業務改革はもちろん否定しませんが、当社の場合、あまりうまくいっていません。例えばPARTNER-21でも、当初はそうでした。当社だけでなくディーラーの代表にもプロジェクトに参加してもらったにもかかわらず、ディーラーから使いにくいとか、メーカーの論理でつくっているとかいった苦情が寄せられました。それを受けて修正したのですが、結局はディーラーそれぞれのやり方にシステムを合わせろという話になってしまいました。

 でも、それをやったのでは、意味がなくなってしまいますよね。今回は、物理的に業務を集約して一つにしてから、それに合わせたシステムを導入しますので、当然うまくいくはずです。

東日本大震災やタイの水害で自動車産業のサプライチェーンの脆弱性が明るみに出ました。御社の場合はどうでしたか。

 震災では、当社自体の被害は軽微で済みました。ただ、電子部品を筆頭にしたサプライチェーンの途絶の問題は、他社と同じ状況でした。本当にどうなることかと思いましたが、自動車業界を挙げて部品工場に応援団を出したのが良い結果をもたらしました。年内はダメだろうという観測もありましたが、10月からフル生産に戻せました。

 電子部品については複数のメーカーと取引があるのですが、大本は1社で造っていることを、実は知らなかったのですよ。1社だけなら、本来その企業は莫大な利益が出るはずですが、全くそうなっていない。そのことも今回初めて知りました。力関係で自動車産業のほうが強すぎるという話もありますが、リスク分散の観点からもいろいろと考えていく必要があるのかもしれません。

サイバー攻撃の被害は無し

吉永 泰之氏
写真:陶山 勉

自動車以外の事業はいかがですか。中計では「自立を見極める」としていますが、“祖業”である航空宇宙事業も、全体の売上高1兆5800億円の5%程度を占めるにすぎません。

 「自立を見極める」というのは、事業としてきちんと自立していかないとダメですよというメッセージです。やめる、やめないといった話ではありません。

 航空宇宙では民需、特に当社が中央翼を担当するボーイングの787がようやく就航し、今後生産機数が増えるでしょうから、これからが楽しみです。飛行機産業というのは、どうしても長期間、大きな資金が寝てしまいますが、予定通りの機数が生産されれば、必ず全体として利益が出ます。

最近、防衛関連企業へのサイバー攻撃が大きな問題になりました。御社では被害はなかったのですか。また、何か特別な対策をとっていますか。

 当社の被害はなかったのですが、大きな脅威ですので、これからも気を付けていかなければいけないと考えています。ただ、それ以上のコメントは現時点ではありません。

富士重工業 代表取締役社長
吉永 泰之(よしなが・やすゆき)氏
1977年3月に成蹊大学経済学部卒、同年4月に富士重工業に入社。99年10月に国内営業本部営業企画部長。2001年6月にスバル営業本部日本地区本部営業第三部長。02年6月にスバル戦略本部スバル企画室長。03年10月に戦略本部副本部長兼経営企画部長。05年4月に執行役員戦略本部副本部長兼経営企画部長。06年6月に執行役員戦略本部長。07年6月に常務執行役員スバル国内営業本部長。09年6月に取締役兼専務執行役員スバル国内営業本部長。11年6月より現職。1954年3月生まれの57歳。

(聞き手は、木村 岳史=日経コンピュータ)