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 米アドビ システムズがデジタルマーケティング関連など一般企業向けのソリューションを強化している。また、タブレット端末などの本格普及を前に、モバイル端末向けFlash Playerの開発を終了し、HTML5ベースの展開にシフトする。同社のシャンタヌ・ナラヤン社長兼CEOに、ビジネスにおけるIT活用がより高度化する時代をにらんだ事業戦略を聞いた。

シャンタヌ・ナラヤン氏
写真:陶山 勉

デジタルコンテンツの制作や配信に関して、一般企業向けにもソリューションの提供を強化しています。

 今や金融機関、消費財メーカーなど全ての企業がビジネスをオンラインに移行していかなければなりません。全ての企業が、物理的な販売チャネルと電子的なチャネルをまたぐ形で、顧客とのリレーション構築を考えなければならないのです。

 以前なら、PC向けのWebサイトを作ればよかったわけですが、今ではモバイル向けのサイトも必要です。また、スマートフォン向けとタブレット端末向けでは、異なるコンテンツ仕様が求められます。オンラインビジネスも盛んになっていくわけですから、ITプロフェッショナルがそうしたビジネスの変革を支援することは不可欠になってきています。

 アドビには、そうした課題に対応した「Digital Marketing Suite」というソリューションがあります。PCやスマートフォンなどにまたがるコンテンツを提供できるプラットフォームです。解析・分析機能も用意し、Webサイトの訪問者について様々な分析を行うことができます。どんな企業であれ、オンラインビジネスを模索し、デジタルマーケティングを推進するために、こうしたトータルなプラットフォームは不可欠なものと考えています。

重要になるシステム部門の役割

シャンタヌ・ナラヤン氏
写真:陶山 勉

米国の企業では情報システム部門も、そうしたデジタルマーケティング戦略に関与するようになってきているのですか。

 その通りです。メディア企業、エンターテインメント企業を例に取れば、既にCIO(最高情報責任者)やCTO(最高技術責任者)も、デジタルマガジンやデジタルビデオをどのようにオンライン配信するかについて検討しています。

 金融や旅行など他業種の企業、そして官公庁でも同様です。システム部門が積極的に関わることは、ビジネスにとって良いことです。顧客に近づきたいと考えているなら、どの企業でもマーケティングとITが共に必要です。

そう言えばCIOではなく、CTOと名乗る情報担当役員が増えましたが、やはりITがマーケティングなどのビジネスと直結するようになったからでしょうか。

 ITという技術とビジネスが密接にひも付くようになったと言えます。企業が考えているのは、ITを活用することによって顧客に近づき、収益を上げることです。ビジネスにおけるスピードも重要性を増しています。その一方で、クラウドにより様々な技術が容易に実装・導入できるようになりました。

 そうした状況からCTOと名乗る役員が増えているのは、ご指摘の通りです。ただ、CIOという肩書を使っていようと、CTOと名乗っていようと、フォーカスする課題は同じだと思います。

では、肩書というよりも、いわゆるCIOの役割が変わってきたと考えたほうがよいわけですね。

 CIOは、企業にとって根本的な役割を担うようになってきました。例えば当社でも、クラウドなどの新サービスを展開することにより、急速にビジネスのオンライン化を図っています。当然、ITなどのインフラを変えることも必要になります。顧客の需要に先んじて行動を起こせるようにすることが求められるわけです。

アドビ システムズ 社長兼CEO(最高経営責任者)
シャンタヌ・ナラヤン
米シリコングラフィックスのデスクトップ製品およびコラボレーション製品担当のディレクタ、米アップルの複数の上級管理職位を経て、1998年にアドビに入社。エンジニアリングテクノロジグループのバイスプレジデント兼ゼネラルマネージャ、ワールドワイド製品開発担当シニアバイスプレジデント、ワールドワイド製品担当のエグゼクティブバイスプレジデントを歴任。2005年に社長兼COO(最高執行責任者)に就任し、同年の米マクロメディア買収に貢献。2007年 12月より現職。

(聞き手は、木村 岳史=日経コンピュータ)