PR

 アジアでの事業拡大を目指すNTTデータ。成否のカギを握るのは中国事業だ。現地子会社、NTTデータチャイナの総裁として中国事業を統括するNTTデータの神田文男中国総代表に、中国でのビジネス拡大策について聞いた。

(聞き手は大和田 尚孝=日経コンピュータ



中国での事業計画は?

NTTデータ中国総代表、NTTデータチャイナ総裁の神田文男氏
NTTデータ中国総代表、NTTデータチャイナ総裁の神田文男氏
[画像のクリックで拡大表示]

 NTTデータグループ全体での売上高を今後5年間で5倍に伸ばす方針だ。2011年度の売上高はオフショア事業を含め100億円程度。これを2016年度には500億円規模まで増やす計画を立てている。オフショア開発・保守やBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)といった日本向け事業と、中国市場向け事業をそれぞれ250億円程度に増やしたい。

 2011年度の売り上げ100億円のうち、9割は日本向け事業。中国市場での売り上げは10億円程度しかない。現状を踏まえると、特に中国市場向け事業については大幅な強化が必要だと認識している。

わずか10億円の中国市場向け事業を5年間で250億円にできるのか?

 確かに簡単ではない。(5年後の目標額を)見れば見るほど恐ろしい。それでもなんとか達成したいと思っている。

具体的な戦略は?

 大きく三つに分けて作戦を練っている。日系企業の中国進出支援、欧米企業の中国進出支援、中国国内企業のシステム化支援だ。現在の中国市場向け事業は、先の二つがほとんど。中国国内企業からの売り上げはごくわずかしかない。

 これら三つのうち、好調なのが欧米企業の支援だ。欧米で買収した子会社の顧客企業が中国に進出し、その際のシステム開発などを手掛けるケースが増えている。代表例は独BMWの中国拠点の案件だ。欧米拠点との連携を強めて、こうした案件をどんどん増やしていきたい。日系企業の支援についても、日本の拠点と連携しながら、中国に進出する企業を取り込んでいきたい。

中国国内企業はどう攻めるのか?

 正直に言って、これが最も難しい。市場が大きいのは分かっているが、なかなか踏み込めない。ソフトウエアやサービスといった商材を用意することはできたとしても、営業など顧客との折衝は中国人でなければこなせないからだ。中国人の営業担当者を採用し育成する、販売パートナーを増やす、提携先の現地IT企業に出資する、など様々な手段を通じて地道に取り組んでいくしかないだろう。

 4月下旬には、中国で金融ITサービスを手掛ける上海通聯金融服務に出資すると発表した。これはまさに中国国内企業向けビジネスの強化に向けたものだ。

中国市場ではどんな商材を投入しているか?

 財務諸表のXBRL(拡張ビジネス・レポーティング言語)化支援、金融機関向けのリスク管理システム構築、ERP(統合基幹業務システム)パッケージ導入、NTTデータイントラマートのWebシステム基盤ソフト「intra-mart」などの製品/サービスを提供している。XBRL化については、現地IT企業と共同で中国移動通信集団(チャイナモバイル)からシステム開発を受注するなどの実績も出てきている。

話は変わるが、人件費が高騰する中国において、さらにオフショア開発やBPOといった事業を拡大するのはなぜか?

 日本向けのオフショア開発などについては、今はグループで中国に4000人の要員を抱えるが、これを2012年までに8000~1万人に増やす考えだ。開発拠点についても、現在は東北部や中西部が中心だが、これを全土に広げていく。

 確かに人件費の上昇は避けられない。一般論として、ミャンマーやベトナムなど、よりコスト競争力の高い地域に開発拠点をシフトさせる動きが進むだろう。ただし、それは長期的な観点での話であり、今すぐにシフトが加速するわけではない。

 少なくともあと5年間は、日本向けオフショア拠点として中国が主役の座をキープすることは間違いない。中期的には、内陸部に拠点を新設したり生産性を高めたりすることでコスト競争力を維持することが十分に可能だ。

中国ビジネスは一筋縄ではいかないと思うが、勝算はあるか?

 ゼロからの出発であり、道のりは険しいが、もちろん勝算はあると思っている。そう考える理由の一つは、中国の“熱さ”だ。2011年7月に中国に赴任して驚いたのは、中国人はもちろん、中国で働く日本人も含めて、ビジネスパーソンがエネルギッシュに活動している。何事も即断即決、意思決定スピードがとても速く、仕事がどんどん回る。

 一方でアポイントメントが直前まで確定せずに冷や汗をかくことも少なくない。4月25日と26日に中国の北京と上海でNTTデータチャイナの設立記念式典を開催した(関連記事)が、その際の出席者をなかなか確定できず、会食の席次が当日の朝まで決まらなかった。何事も用意周到に進める日本とは、物事の進め方が大きく異なる。

 こうした違いを踏まえた上で、どうビジネスを展開していくかが課題だ。中国独特の商習慣などを日本の本社に正しく伝え、理解してもらい、サポートを得る必要もある。

グローバル化に向けて、避けては通れない取り組みだということか?

 そのとおりだ。NTTデータの連結売上高に占める中国事業の割合は1%にも満たない。この比率を早期に高めることが中国総代表としての私の役割であり、その役割を果たすことがNTTデータのグローバル化につながる。