米OracleのクライアントJava開発担当副社長Nandini Ramani氏に、クライアントJavaの今後について聞いた。組み込み向けの「Java ME」とデスクトップ向けの「Java SE」の間にある断絶を解消するため、両者のバージョンを同期させていき、さらにクロスプラットフォームのUIフレームワークとしてJavaFXを推進する。フルセットのクライアントJava環境であるJava SEを、デスクトップPC以外の多様な機器類にも展開する。また、iOS版JavaFXクライアントのプロトタイプを開発するなど、スマートデバイスに対しても意欲的に取り組んでいるという。
JavaOne 2012 Tokyoのキーノート(関連記事)では、組み込み向けのJava MEと、デスクトップ向けのJava SEのバージョンを「同期させていく」と説明していました。同期させることの価値は何ですか?

今のハードウエアのスペックに比べ、Java MEは立ち後れがありました。ハードウエアはJava SEに十分な能力があるにもかかわらず、Java MEのバージョンは古いままです。また組み込みJavaとデスクトップJavaとの間でバージョンが違い、分断されている状況も、開発者にとって不利益です。
そこで、Java MEのバージョンを上げ、Java SEと合わせていく方針を打ち出したのです。また、Java SEを多様な組み込み機器類に適用するJava SE Embeddedを推進していきます。
フルセットのJavaのメリットを、組み込み機器でも使えるようにするのが最も重要な狙いです。HTML5と最新のJava言語を使えるようになり、GPUなどハードウエアの機能もフルに引き出すことができます。また最新の開発ツールを利用できることも、バージョンを同期させることのメリットです。UIデザインのためにJavaFXの「Scene Bulder」のような最新のGUI構築ツールを利用することもできます。
新しいバージョンのJava MEは、古いJava MEの上に作られたアプリケーションを実行できるよう後方互換性を持たせるのでしょうか。
その通りです。