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 インターネット全域に分散配置したサーバーを使い、メディア配信の高速化などコンテンツデリバリーサービスを提供する米アカマイ・テクノロジーズ。このところは、WAN高速化装置ベンダー、クラウドサービス事業者と共同など、エンタープライズ市場に向けた動きが目立つ。セーガン社長兼CEOに戦略を聞いた。

(聞き手は河井 保博=日経コミュニケーション編集長、取材日:2012年3月29日)

ポール・セーガン氏
写真:新関 雅士

アカマイは動画などメディア配信の高速化などのサービスでよく知られている。一方で、WAN高速化装置のベンダーとのソリューション共同開発など、最近はエンタープライズ向けに力を入れてきている印象がある。

 確かにアカマイというとコンテンツデリバリー、メディア配信などのイメージが強いかもしれない。しかし実際のところは、エンタープライズ市場には何年も前からフォーカスしてきている。

 アカマイの事業はもともと、企業にとってインターネットをよりうまく使えるものにするためのソリューションを提供すること。それがWebアクセスの高速化であり、Webセキュリティの強化だ。必ずしも、つい最近の取り組みではない。とはいえ、このところエンタープライズ領域のサービス提供の機会が急速に増えてきた感はある。

市場が立ち上がってきているきっかけは何だと思うか。

 企業が本格的にクラウドサービスを採用するようになってきたことが最大の要因だろう。ブロードバンド接続、サーバー仮想化、SaaS(Software as a Service)、モバイル環境の充実、スマートデバイスの普及なども影響が大きい。

 これらの技術やサービスは、いずれもこの10年くらいの間に生み出され、急速に企業に浸透している。それとともに、アカマイのビジネスも拡大している格好だ。現在、売り上げの6割近くは、この5年くらいの間に市場に投入してきた企業のクラウド導入を支援するサービスから得ている。

 今は膨大な数のユーザーあるいは機器が常にネットワークにつながっている“ハイパーコネクティッド・ワールド”だ。どの業界でも、企業がこれからを勝ち抜いていくには、ハイパーコネクティッド・ワールドに対応していかなければならない。

具体的にはどうする必要があるということか。

 重要なのは、クラウドコンピューティング、モビリティー、動画をはじめとするリッチメディア、そしてWebセキュリティといったトレンドを意識しながら、既存顧客、見込み客、サプライヤー、従業員に対するリーチを確保することだ。いつでも、インターネット上のどこにでも、どのようなデバイスにでも、コンテンツを高速かつセキュアに配信できる環境が必要になる。

 例えば今、企業はCRM(顧客関係管理)、財務、受発注、トラッキングなどの各種アプリケーションをインターネット経由で利用することが多くなってきている。ところが、インターネット経由で利用するクラウドは必ずしも性能が出ないことがある。

 しかも、ユーザーがWebの応答を“待てる”時間はどんどん短くなっている。かつて、Webページにアクセスしてから8秒くらいは待ってもらえた。ところが、それが3年ごとに2秒ずつ縮まった。最近では数百ミリ秒でページをロードできないとユーザーが離れていくとする調査結果もある。