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 注目を浴びつつある「ゲーミフィケーション」。Webサイトの集客などBtoC分野、社内のモチベーション管理など、さまざまな領域で応用できるとして期待が高まっている。特にBtoC分野のゲーミフィケーションで焦点となるのが、最終顧客に対するリワード(報酬)をどう設計するかだ。

 ゆめみの深田浩嗣 代表取締役社長は、「割引やクーポンなど、金銭的な色合いが強い『マネタリーリワード』ばかりに頼るのは望ましくない」と指摘する。ユーザー自身の達成感や満足度が高まるようなリワードを設計して、「自社ブランドのファンになってくれるような、適切な仕組み作りが大切だ」と深田社長は語る。

 ゆめみはゲーミフィケーション導入用のSaaSである「Sprocket(スプロケット)」を2012年6月から提供している。企業のWebサイトにポイント制やランキング表示といった要素を組み込む機能や、ユーザーの行動分析機能などを備える。現在の利用企業はドクターシーラボなど約10社だという。深田社長に、ゲーミフィケーションの現状やリワードの考え方について聞いた。

(聞き手は高下 義弘=ITpro

ゆめみにゲーミフィケーションを導入したいと相談に来る顧客企業の傾向は。

ゆめみ 代表取締役社長 深田浩嗣氏
ゆめみ 代表取締役社長 深田浩嗣氏

 「BtoCのサイトで考えられる一通りのユーザー活性化手法は実践してきた。では次にどうするか」ということでゲーミフィケーションに着目する企業が多い。

 ただ、「ゲーミフィケーションはFlashゲームの導入など娯楽要素を盛り込むことだ」と思われることも少なくない。「ゲーミフィケーションはユーザーとの関係性(エンゲージメント)を強固にするための仕組みである。そのための一手段としてゲーム的な要素がある」といったことについて、しばらくの間は継続的な啓蒙が必要だと考えている。

 ゆめみでは「Sprocket」というゲーミフィケーション用のプラットフォームをSaaS形式で提供している。Sprocketのユーザー企業は、大手企業や大規模Webサイトの運営企業など。ユーザー数が多いので、ゲーミフィケーションを導入した際の効果も見えやすい。これまでの経験上、「まずは実践してみて結果を見ながら改善していく」というやり方が、成果を出していくのに有効だ。

深田社長は最終顧客に対するリワード(報酬)の設計が重要だと主張されている。

 リワードには大きく3種類ある。「マネタリーリワード」「ソーシャルリワード」「インナーリワード」だ。

 マネタリーリワードは商品の割引券やクーポンなど、金銭的な色合いの強いもの。ソーシャルリワードとは、例えば限定商品などが購入できるといった特別な権利や、他のユーザーから受ける名誉や賞賛などだ。インナーリワードは何かを達成できた、できなかったことができるようになった、といった自己実現に類するものを指す。

 現時点のゲーミフィケーションで一番よく使われているのが、マネタリーリワードである。何かの商品やサービスを購入した場合に「割引券を提供します」といったものだ。これが悪いわけではないが、気軽に使われすぎている傾向がある。

 マネタリーリワードに頼りすぎると、単に「安くなるから選択する」という顧客行動を招きかねない。これでは本当に最終顧客が自社を好んで選択してくれているのかどうかが見えにくくなってしまう。

 3種類のリワードをうまく使い分けることと、ユーザーに対していつどんなタイミングでリワードを提供するかをデザインすることが、ゲーミフィケーションのポイントだと言っていい。

 リワードはうまく設計しないと、自社および商品のブランドにダメージが起きる。当社ではゲーミフィケーションを導入したいという企業には、ソーシャルリワードやインナーリワードを軸に、「(最終顧客の心に)じわじわ効くやり方で進めませんか」という提案を中心に据えている。

どんな考え方でリワードを設計すべきか。

 顧客企業が実現したいことによって変わる。だが基本はユーザー目線に立つことだ。例えば、どんなリワードがあればユーザーは自社および自社ブランドのファンになるかと考える。

 動機のメカニズムについては心理学的に実証されている部分もある。ゲーミフィケーションの具体的な実装はテクノロジーだが、設計の部分はサイコロジカルなアプローチが求められる。