PR

 ここ数年、業績面で足踏みが続いた通販大手の千趣会。昨年度(2012年12月期)も売上高は伸びたが、「想定外の事態」に見舞われ減益を強いられた。田邉道夫社長は、今年度こそ捲土重来を期し、10年後の売り上げ倍増につなげたい考えだ。若い頃に情報システムの全てを一手に担当したという田邉社長に、巻き返しの秘策とIT活用の可能性について聞いた。

(聞き手は木村 岳史=日経コンピュータ 編集委員)

昨年度は増収減益でした。どのように評価していますか。

1967年4月に千趣会に入社。95年4月に制作部長。97年6月に取締役に就任。2000年6月に事業運営部長、01年11月に海外通販部担当、03年1月にファッション事業部長。05年3月に常務取締役、08年3月に専務取締役に就任。11年1月より現職。1946年7月生まれの66歳。(写真:宮田 昌彦)

 売上高は1457億円と目論見通りだったのですが、想定外の事態が起こり減益になってしまいました。想定外とは、まず原価が大幅に狂ってしまったことです。在庫が想定以上に増え処分計画もうまくいきませんでした。

 もう一つの問題は物流が混乱したことです。約20年前から自動化倉庫を運営してきましたが、機械の保守契約が切れたのを機に、人手中心の仕組みに切り換えました。その結果、新たな仕組みに不慣れな現場で、荷物が滞留し出荷できないなどの問題が起こりました。混乱回避のために、さらに人を投入せざるを得ませんでした。

自動化倉庫をやめアマゾン方式に

過剰在庫は、想定通りに売れなかったからではないのですか。

 秋商戦で少し苦戦したこともありますが、根本的な要因はカタログ中心のビジネスから、ネット中心へと移行する中途半端な時期にあるということです。ネットでの注文は70%近くになっていますが、カタログを見てネットで注文する人もいますから、純粋なネット比率は半分ぐらいです。

 カタログビジネスはカタログビジネスで動いているし、ネットでもネットオンリー商品をどんどん開発しています。その結果、商品のダブリも生まれ、商品数が増え在庫も増えてしまったわけです。

倉庫を人手に戻すというのは、効率化に逆行しませんか。

 アマゾンと同じ発想です。人手中心に切り替えたほうが、スペース効率が良くなるのですよ。自動化倉庫ではコンベヤーやカートなどの機械が大きなスペースを占めてしまいます。機械に数十億円の新たな投資をするかを判断した結果、アマゾン方式を採用することにしたのです。

今年度は利益面でも回復できると見ていますか。

 私はそう捉えていますし、課題解決の道筋も見えています。今期は売り上げを5%伸ばし、営業利益47億円を目指しています。昨年は21億円でしたが、V字回復を狙っています。

 今、長期経営計画の策定を進めていますが、ネットとカタログの融合モデルを作って、既存事業を伸ばしたい。従来の延長線上では頭打ちですからね。もう一つ大事なのは新規事業です。強みを生かして事業領域を広げていく。10年後ぐらいをメドに売り上げ倍増を目指したいと考えています。