PR

 IaaS(インフラストラクチャー・アズ・ア・サービス)を実現するOSS(オープンソースソフトウエア)「OpenStack」を支持するITベンダーが増えている。開発の中心である米OpenStackファウンデーションの最高執行責任者(COO)であるマーク・コリア氏は、「米アマゾン・ウェブ・サービスという巨人に対抗するためだ」と説明する。コリア氏に話を聞いた。

(聞き手は中田 敦=日経コンピュータ


コリア氏は、OpenStackの開発元の一つであるホスティング事業者、米ラックスペース・ホスティングから、OpenStackファウンデーションに移籍したそうですね。そもそもラックスペースはなぜ、OpenStackをOSSとして公開したのでしょうか?

 1998年に創業したラックスペースは、「ファナティカル・サポート(熱狂的なサポート)」、人手による手厚いユーザーサポートがユーザーに支持されていたホスティング事業者でした。しかし米アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)が2006年に「Amazon EC2」を開始したことで、ホスティング業界の構造は一変してしまいました。

 アマゾンは自社開発したソフトウエアによって、セルフサービス方式で利用でき、API(アプリケーション・プログラミング・インタフェース)経由で外部からコントロールできるIaaSを実現しました。AWSが台頭することで、ラックスペースが強みとしていた手厚いサポートの競争優位性が失われ、ホスティング事業の優位性がテクノロジーで決まるようになったのです。

 優位性を取り戻すためには、ラックスペースも自社でIaaSのソフトを開発する必要がありました。しかし、少数のソフト開発者しか雇用していないラックスペースが、数千人というソフト開発者をかかえるアマゾンに対抗するのは不可能です。「アマゾンという巨人に対抗するためには、自社開発した技術をOSSとして公開することで、他の会社の協力を得るしかない」――。そう考えたラックスペースは2010年春に、アメリカ航空宇宙局(NASA)と共同で、OpenStackをOSSとして公開しました。

 米国のIT業界では数年前から、OSSがアマゾンや米グーグルに対抗するための武器として認識され始めています。私も2009年頃に、OSSのコンテンツ管理システム(CMS)「WordPress」の開発者が、「アマゾンやグーグルのような巨人と戦うためにはOSSしかない」と語っているのを聞いたことがあります。分散バッチ処理ソフト「Hadoop」を米ヤフーがOSS化したのも、同じ発想でしょう。

OpenStackのOSS化は、成功したと考えていますか?

 もちろんです。現在、米IBMや米ヒューレット・パッカード(HP)、米デル、米レッドハット、米シスコ・システムズ、NTT、NECといったIT業界の巨人が、OpenStackの開発に貢献しています。OpenStackは、モバイルにおける「Android」のような、クラウドにおけるオープンなプラットフォームになるでしょう。

ラックスペースはなぜ、OpenStackの開発主体を、OpenStackファウンデーションという第三者機関に移管したのでしょうか?

 OpenStackの開発に参加する他の企業のリスクを減らすためです。IBMやレッドハットといった企業は、OpenStackの開発に多額の投資をしています。もしも、OpenStackの開発主体がラックスペースのまま、ラックスペースが他社に買収されてしまったら、IBMやレッドハットの投資が無駄になってしまうかもしれません。第三者機関にすべての権利が移管されていれば、このようなリスクを無くせます。また、OSSを単一の会社が支配するのは、そもそも良くないことです。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

日経クロステック登録会員になると…

新着が分かるメールマガジンが届く
キーワード登録、連載フォローが便利

さらに、有料会員に申し込むとすべての記事が読み放題に!
有料会員と登録会員の違い