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 アルカテル・ルーセントのベル研究所は、通信分野にまつわる様々な研究開発を手掛ける長い歴史を持つ組織だ。新所長のリッテンハウス氏に、同研究所の近況と現在注力している研究分野について聞いた。

(聞き手は山崎 洋一=日経NETWORK

ベル研究所の近況を教えてほしい。

アルカテル・ルーセント ベル研究所 所長 ジー・リッテンハウス氏
アルカテル・ルーセント ベル研究所 所長 ジー・リッテンハウス氏
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 ベル研究所は、この10年でいろいろな方向に進化してきた。まず旧アルカテルと旧ルーセントが合併した。これによってアルカテルのリサーチ部門と、旧ルーセントのリサーチ部門つまりベル研究所が合体した。これで誕生した新しい組織には、800人近いサイエンティストとエンジニアが所属することになった。拠点は米国、欧州、アジア太平洋と世界中にある。アジア太平洋地域では、上海とソウル、バンガロールに拠点を構える。

 当研究所がカバーする分野はかなり広い。無線、光伝送のPON(Passive Optical Network)、さらにソフトウエア分野のIMS(IP Multimedia Subsystem)といったもの、そしてクラウドや分散型のシステムも扱っている。フォーカスしている分野について言うと、過去には主に物理学の分野で新しいコンポーネントやデバイスを開発してきた。しかしこの5年間を見るとむしろソフトウエア、特に分散型のソフトウエアシステムが中心になってきた。私自身も、この期間にベル研究所を離れてソフトウエアとサービス系の部門のヘッドを務め、ここに戻ってきた。

 顧客が期待するサービスを提供するというのは必要なことだが、そのようなサービスはWebベースで作っていかなくてはならない。こうしたことがあり、伝統的に垂直型で作られていたテレコム的なハードウエア中心のサービスから、低額でIPのプラットフォーム上に作られたサービスへの移行が進んでいる。サービスはソフトウエアで作られ、Web型のサービスはクラウドや仮想化の方向にシフトしている。ここでは、ハードウエアはIPベースの伝送に使うものとなる。

 技術的な側面から、ハードウエアからソフトウエアへの移行は注目すべきところだろう。この業界が面しているプレッシャーとは、まさに時間だからだ。通信業界も、これまではサービスをカスタマイズされたハードウエアで作らなくてはならなかった。それは現在のオーバーザトップのアプリケーションに比べると、すごくゆっくりだった。アプリケーションストアとかWebベースのサービスがすごいスピードで出てくる今の時代、業界は今後ハードからソフトへと行かざるを得ない。今後は、これまで以上に迅速にアプリケーションを開発して、ユーザーに公開できなくてはならない。それはソフトウエアの世界でやっていかざるを得ないと思う。