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社会に貢献できる人材の育成につなげたい

 このコンピュテーショナル・シンキングは、コンピュータ・サイエンティストやプログラミングを職業とする人だけのものではありません。コンピュータやプログラミングの概念に基づいた問題解決型の思考能力を指します。例えば、プログラミングの場合、ある処理をするためには、ときに分岐したり、繰り返したりしながら、逐次実行していくことを考えます。大きなプログラムの場合は、処理を細かく分割して実行できるようにしていきます。これは、社会問題の解決にも当てはまります。大きな問題を分割して個別の課題にし、それらをどういう順番で処理していくのか。このように、プログラミングの学習は、問題解決のトレーニングにもなっているわけです。

 さらに、コンピュテーショナル・シンキングを身につけることで、人間とコンピュータのそれぞれの役割と、互いの役割に基づいたコラボレーションのあり方が見えてくるでしょう。その結果、これからの社会のあり方を考える力が養われるのではないかと思っています。

この新しい学びに基づいた商品やサービスを展開していくわけですか。

 それを念頭に置いています。ただ、先ほどお話ししたようにいろいろとトライアルをしている段階で、はっきりとした答えはまだ出ていません。

 MITメディアラボの活動を見ていると、幼児向けには「Scratch Jr」というScratchをさらに簡単にしたプログラミング環境を使った教育を米タフツ大学と研究していたり、Scratchの対象年齢よりも上の人向けには「MIT App Inventor」というAndroid向けのビジュアルプログラミング環境を開発していたりしています。

 幼児からプログラミングを体験させることについては、いろいろな意見があると思います。ツールとしては、プログラミングでなくてもよいわけです。例えば、幼児が絵を描いたら、まずそれを母親に見せます。そのうち、友達に見せたり、逆に友達の絵を見たりします。そうしているうちに、自分の作品が認められたり、他人の作品を認めたりして、見せ合うこと、発表することに価値があることに気づきます。そして、それぞれの得意分野を生かして協調作業するようになっていくわけです。

 インターネットが当たり前のデジタル社会になった今、プログラミングがそうしたツールの一つになり得るでしょう。絵は得意ではないけれどプログラミングは得意となれば、絵の得意な人と協力しておもしろいゲームを作れるかもしれない。コミュニティに参加して、そこで貢献する方法を学び、自分の価値に気づくこともあるでしょう。それにより、得意分野、貢献できる分野を伸ばす努力をするようになります。自分の能力に気づき、それを生かして社会に貢献できる人材になる。幼児のころからの「モノを作って、それをお互いに評価し合う」という活動が、最終的には社会に貢献できる人材の育成につながる。これを支援できるような活動をしていこうと思います。