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 クラウドで既存の寡占市場に切り込むベンチャー企業の創業社長――。多くの方は血気盛んな若者を思い浮かべることだろう。だが、アカウンティング・サース・ジャパン(A-SaaS)はさにあらず。豊富な経験を積んだ”シルバーアントレプレナー”が、大手3社で約8割のシェアを握る会計事務所システムの市場にクラウドベースのシステムで真っ向勝負を挑む。

 A-SaaSは2013年6月に米セールスフォース・ドットコム、グリーベンチャーズ、モバイルインターネットキャピタルからの出資も得て、その“兵站”を増強(関連記事)。独自で構築したクラウド基盤を今後はセールスフォースのPaaSである「Force.com」に移行し、2017年までに5000事務所への導入を目指す。そんなシルバーアントレプレナー、A-SaaS代表取締役社長の森崎利直氏に起業の理由や今後の展開を聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=ITpro


会計事務所向けシステムの現状、起業した理由を教えてください。

A-SaaS代表取締役社長の森崎利直氏
写真●アカウンティング・サース・ジャパン代表取締役社長の森崎利直氏(右)と経営企画室室長の外園将一郎氏(左)

 全国には3万2500の会計事務所があります。会計事務所のコンピュータ化の歴史は古く、40数年前から先駆的に取り組んでいた業界です。5年ほど前に経済産業省がJ-SaaS(中小企業向けSaaS活用基盤整備事業)を言い始めて、中小企業が今で言うクラウドを意識し始めました。ただ会計事務所向けのクラウド、SaaSはなかった。

 会計事務所向けシステムの業界は完全な寡占状態です。会計事務所3万2500のうち、それらのシステムはTKC、JDL(日本デジタル研究所)、MJS(ミロク情報サービス)の大手3社で約8割を占めています。会計事務所はSaaSの恩恵が受けられていない状況です。それを打破して、最新の使い方を会計事務所に提供したい、という思いがありました。

 既存の大手は自社でデータセンターを持っていたり、ハードウエアを提供したりしている。そうした状況で併行してクラウドを構築するといった二重投資は難しい。やろうと思うと大変なコストがかかり、「クラウドでコスト削減」が容易には実現できない構造になっている。私自身、この業界で40数年間お世話になっていました。「何とかしたい」という思いがあり、自分たちの手で会計事務所のシステムを作るため、2009年6月に起業しました。

 起業する前、約1年かけて私自身でスキームを考えました。開発に際しては、シリコンバレーにメンバーを送り、クラウドの最先端の技術を探し、オープンソースソフトウエアを活用し、その後3年かけて使えるものができました。1年前の5月に会計事務所が日常使うものはリリースしました。

寡占状態をどのように崩していくのでしょうか。

 牙城をどう崩すかというと、それは王道しかないと思っています。お客さんが本当にいいと思うものを作ることです。

 会計事務所のシステムは、国が「税制変えるぞ」といったら、短期間で変更を反映して使えていなければならない。A-SaaSでは、そうしたことがやりやすい仕組みを、今の新しいテクノロジーで対応できるようにしています。それまではそこを人的に解決しようとしていたため、その負荷が会計事務所にかかっていた。