PR

 中国のCDN(Content Delivery Network)サービス最大手である「チャイナ・キャッシュ」が、日本企業向けの販売拡大に意欲を燃やしている。同社の社員数は1200人以上、2012年度の売上高は8.3億元(約132億7000万円)に上る。2012年3月にはTISの中国現地法人と事業提携し、iDCサービスを提供している。副総裁を務める代翔氏に、現状と今後の展望を聞いた。

(聞き手は岡部 一詩=日経コンピュータ


チャイナ・キャッシュの代翔副総裁
[画像のクリックで拡大表示]

事業内容と主要顧客は。

 Web上のコンテンツをユーザーに効率良く配信するためのCDN(Content Delivery Network)サービスの提供が当社の主力事業だ。中国初のCDN販売事業者として1998年に創業し、今では約2000社のユーザーを抱え、中国国内では50%のシェアを占めている。中国の官公庁やWeb関連企業大手のほとんどが当社の顧客だ。

 2007年には米国に進出し、2010年に米ナスダック市場に上場した。日本における顧客は現時点では10社程度だが、2012年3月にTISの中国現地法人と事業提携した。これをテコにして、日本企業の新規開拓を狙っている(関連記事)。

1998年の段階でCDN事業を始めた経緯は。

 当社が創業した1998年は、中国でインターネットが始まって間もない時期だった。CDNの技術はまだ新しいものだったが、米系企業の中国支社で責任者を務めていた当社の創業者がその必要性に目をつけ、独立したというわけだ。

 中国でCDNの必要性が理解される契機となったのが、2000年のシドニーオリンピック。アクセス集中で負荷が増大し、多くのWebサイトが遅延した。中国の大手ポータルサイト「新浪(SINA.com)」を運営する「新浪」が、ファーストユーザーとして当社のサービスを導入したのも2000年だ。

競合は。

 代表的なところでは、「百度(バイドゥ)」が競合に当たる。だが、当社にとっての問題は競合相手ではなく、ユーザーの成長が早過ぎることにある。

 中国企業は次々と海外に進出しており、現地におけるCDNへの需要は高まるばかりだ。当社は中国ではトップシェアを占めているが、海外では途上の段階。海外における事業展開に力を注いでいる。

 2007年の米国進出を始め、韓国、香港、台湾に支店を設けている。2014年度には、ヨーロッパにも設置するつもりだ。2010年にはCDNを構成するためのノードを米国に5つ設け、自社サービスの提供を始めた。

TISとの協業の状況は。

 TISの高い管理手法や運用経験は良い勉強になっている。協業によって発見もあった。当社がDC分野で選択してきた協業相手のほとんどが、今までは通信事業者だった。TISは通信事業者ではないが、高品質なサービスを提供する。これは当社の従来の認識を覆すものだ。社内にもフィードバックし、協業におけるポリシーなどを見直している。

日本と中国のDC事業者に違いを感じるか。

 ハード面は大きな差はないが、ソフト面は日本が高いと感じる。ここでいうソフトとは、顧客に対する姿勢のことだ。

 例えば99.9%のSLA(サービス・レベル・アグリーメント)を掲げるサービスを、日中の企業が提供していたとする。SLAを守ることについては、中国企業も日本企業も変わらない。

 ただ万が一、SLAを守れなかったときの姿勢が異なる。日本企業はペナルティを支払ったうえに、顧客に対してきっちりとした障害報告をするだろう。中国企業の場合、ペナルティを支払って終わらせてしまうケースが多い。

今後の展望は。

 当社の知名度は世界的にも上がってきている。中国企業が進出する地域を中心に、今後はあらゆる場所でサービスを提供していくつもりだ。海外向け事業の拡大の中で、日本企業向けのビジネスも増やしていく。特に中国に進出する日本企業には、中国でナンバーワンのCDNサービスを提供したいと考えている。

 協業するTISは日本に多くの顧客を抱えている。日本企業に当社サービスを紹介する機会は増える。一方で当社は、中国で多くの実績を積んでいるし、政府とのコネクションもある。中国に進出する日本企業に対しては、こうした魅力もアピールできる。5年間で200社の顧客を獲得することが目標だ。

 中国では、ゲームやネット関連市場が急成長している。より多くの日本企業に進出してもらいたい。TISとの連携を密にして、それをサポートするつもりだ。

日本企業は品質にうるさいとよく言われる。

 品質にうるさいのは、なにも日本企業ばかりではない。一流企業はどこの国の企業でも品質にこだわる。例えば、当社は米マイクロソフトにもサービスを提供している。心配はしていない。