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「日本は大きな後れを取っている」。
滞る産業構造改革に対し、三菱総合研究所の小宮山宏理事長はITをフル活用した「創造型需要」の開拓を訴える。
カギとして挙げたのはデータ活用とベンチャー育成だ。

(聞き手は吉田 琢也=日経コンピュータ 編集長)

景況感が回復し、2014年はいよいよ、産業界に成長への期待がかかります。現況をどう見ていますか。

小宮山 宏(こみやま・ひろし)氏
1967年、東京大学工学部卒業。1972年、東京大学大学院工学系研究科博士課程修了。東京大学工学部教授、工学部長、大学院工学系研究科長などを経て、2005年4月に第28代東京大学総長。退任後、2009年4月に三菱総合研究所理事長、東京大学総長顧問に就任。編著書に『これから30年 日本の課題を解決する先進技術』『日本「再創造」』など。(写真:村田 和聡)

 アベノミクスの成長戦略には正直頼りないところもありますが、分野によっては進展が見られます。例えば農業。就労者不足などにより、このままでは産業として持たないと長年言われてきましたが、TPP(環太平洋経済連携協定)の議論をきっかけに、改革に向けた動きが出てきました。

 目指すべきモデルは、ITをフル活用して農産物の輸出大国となったオランダです。農地も人口も少ないオランダは、普通に考えれば農業には不利。しかし、その輸出額は米国に次いで世界第2位です(編集部注:2012年の輸出額は754億ユーロ=約10.7兆円)。

 その強さを象徴しているのが、完全にIT化された、最先端の大規模ハウス栽培です。室内の温度、湿度、光、養分など、ありとあらゆるデータを収集して集中制御し、品質の高い作物を極めて効率的に収穫しています。集めた大量データを分析して農産物育成のノウハウを抽出し、さらなる競争力強化につなげている。まさに情報によって付加価値を生み出す農業なのです。