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 昨今、経済産業省は政府の成長戦略の一環として大企業のイノベーション促進を掲げたベンチャー企業とのマッチングなどに積極的に関わっているが(関連記事:経産省がベンチャーと大企業のマッチングイベント、NECなど大手10社が“ピッチ”でアピール)、そうした取り組みに以前から関わってきた研究者の一人が富士通総研 経済研究所 主任研究員の湯川 抗氏だ。湯川氏は昨年、米グーグルや米IBMなどのIT企業がM&A(企業の買収・合併)を通して積極的に次のビジネスを模索している一方、日本でM&Aが進まない要因の一つとして、日本の会計制度における「のれん代」の償却に関する問題を提起し、注目を集めた。同氏に日本の大企業とベンチャー企業の関わりについて聞いた。

(聞き手は大谷 晃司=日経コンピュータ

写真●富士通総研 経済研究所 主任研究員 湯川 抗氏
写真●富士通総研 経済研究所 主任研究員 湯川 抗氏

そもそも、なぜ大企業とベンチャー企業が組む必要があるのでしょうか。

 日本の大企業を広く見た場合、ここ5年、多くの企業の売上高は現状維持もしくは減少しています。成長より衰退していると捉えるのが通常の考えだと思います。その原因の一つは、大企業の内部でイノベーションを起こす力が弱くなっている、時流に付いていけなくなっていることです。「オープンイノベーション」と平たく言ってしまえば簡単ですが、外部で生まれたイノベーションを内部に取り込んでいく必要があるということだと思います。外部のイノベーションを見たとき、大企業にとって最も有効な協業相手がベンチャー企業だと考えています。

いまだ、日本ではベンチャー企業が成長しないと言われています。

 日本でベンチャー企業が成長していない理由はいろいろあります。エンジェル投資がうまく回らないとか、大学発のベンチャーがあまり生まれていないとか、ベンチャーキャピタルに対する資金供与が例えば年金にようなところから入らないなど様々です。

 そうした中で、「何か一つ上げろ」と言われたら、大企業にその原因があると思います。大企業がベンチャー企業と提携することも、大企業が事業会社としてベンチャー企業に資金供与することも、海外に比べれは少ないです。