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 2011年に東日本大震災が発生した時、すぐにレスキュー号を派遣しようと考えました。被災地にある地元の銀行に貸し出して使っていただくつもりでした。

 しかし、実際にはあまり役に立たないことが分かり、断念しました。現地の銀行の頭取から、「お客様の通帳もキャッシュカードも津波で流されてしまったので、ATMがあってもお金を引き出せません」と言われたのです。

 これはとても悔しい経験でした。仮に今後同じような状況が生まれた場合に、被災地の人々がお金を引き出せるような仕組みはできないものか。このことを突き詰めて考えていく中で、ATMへの生体認証の導入を思いつきました。

 その後、指紋や虹彩、指や手のひらの静脈など、様々な生体データを使って調査や実験を繰り返し、その成果である「手のひら認証」のサービスを、大震災から1年半後の2012年9月に開始しました。

 当初は被災地支援のつもりで開発したのですが、通常時でも通帳やカード無しでATMを利用できるメリットは大きく、今では全てのお客様の12~3%に当たる約16万人に、手のひらのデータを登録していただいています。

 今後、この比率を何とか50%まで持っていきたいと考えています。そこまでいけば、ATMの生体認証技術のスタンダードとして他行にも使っていただける可能性が出てくる。将来、日本中の銀行で、通帳やキャッシュカード無しでATMが使えるようになるためのインフラになってほしいと思っています。