化学品/食品メーカーの旭電化工業が,新しい管理会計システムを稼働させたことが明らかになった。大きな特徴は,SEやプログラマがアプリケーションを構成するプログラムを自動生成するツールを独自に開発して,プログラミング作業の効率アップを図ったこと。
旭電化が開発したツールは,パラメータを入力するとプログラム部品などを生成する。システムの業務ロジック用のプログラム部品を作成するツールやデータベースのスキーマやテーブルを作成するツールなどがある。
新システムを自動生成ツールで開発することで,5カ月半で開発し終えた。10年来稼働させてきた旧システムは,プログラム開発を手作業で行ったこともあり1年半の開発期間を要した。旧システムに比べて,約3分の1に開発期間を短縮できたことになる。新システムは今年2月から稼働している。
旭電化のSEは,要件定義/基本設計が終わったあと,自動生成ツールの開発に着手した。並行して進める詳細設計で,業務ロジックで扱うデータ項目や処理内容などが決まると,その内容を自動生成ツールのパラメータとして利用する。自動生成ツールができると,これらのパラメータを基にプログラム部品を自動生成する。生成したプログラム部品は,別に用意したメイン・プログラムに組み込んで,管理会計システムのアプリケーションとして動くようにした。
今回,開発しなければならなかった,業務ロジックのプログラム部品は全部で300個。旭電化工業の渡瀬浩一参与は「これを手作業で開発していてはとても間に合わない。自動生成することで,プログラムの製造期間を大幅に短縮できた」と話す。
開発プロジェクトを始めるに当たり,旭電化工業は,プログラム部品の組み合わせで開発できるよう,業務アプリケーションのアーキテクチャや,データベース設計手法などを確立。それに沿ってプログラムを自動生成できるように,自動生成ツールを作成した。
旭電化工業情報システム部戦略システムグループの一色秀俊リーダーは,「プログラム部品を何度でもすぐに作り直せるので,仕様変更に柔軟に対応できる」と,自動生成ツールによる開発のメリットを語る。
今回開発した管理会計システムは,メインフレームで管理している製造・販売データを取り込んで,予算編成をするためのもの。旧システムでは,処理が終わるのに12時間ほどかかっていたが,新システムでは2時間で処理を終えられるようになった。