レントゲンやCT装置など,医用画像診断装置の開発/製造/販売などを手掛ける日立メディコは,「見積もり」から「入金」処理までを一元的に管理する「アカウントマネージャーシステム」を構築した。利用中のERPパッケージ「SAP R/3」と,開発したアプリケーションをどのように連携するかがシステム構築上の大きなポイントだった(図1)。構築を担当したのは,エス・アイ・サービス(本社:東京都)。
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図1●システム構成図 |
従来は,見積もりはスタンドアローンのPCで行い,受注はSAP R/3で行うなど,見積もりや受注,請求といった処理によって使うシステムが異なっていた。各システムが連携していないため,契約書を見ながら担当者がSAP R/3にデータを手入力していた。同社の受注伝票は,月間で4000件程度に上るため,作業効率の悪さが目立っていた。「工程間でデータを連携し,案件のステータスを確認できるようにしたい」(日立メディコ 事業戦略室 企画グループ員 峰謙二氏)というのが新システム構築の動機だった。
開発に着手したのは2003年夏。ユーザー・インタフェースなどの開発は順調に進んだが,SQL Serverにため込んだ受注データを,どのような方法で自動的にSAP R/3に登録するかなかなか決まらなかった。「登録完了のリプライをR/3側から受け取りたいので,双方向の連携が不可欠だった」(日立メディコ サービス事業本部 情報システム課 課長 出射剛氏)。当初の計画では,「Microsoft BizTalk Server」を介してSAP R/3と連携するつもりだった。ところが「提案してきたSIベンダーから,いつまでたっても具体案が出てこなかった」(出射氏)ため,代替案を模索するはめになる。
2003年末も押し迫り,稼働開始まで約3カ月しか残されていなかった。出射氏は,SAP R/3のファイル形式「IDoc」をキーワードにインターネットから情報を収集,エス・アイ・サービスの連携ツール「ConnectPlus」を見つけた。ConnectPlusは,SAP R/3の標準インタフェース「ALE(Application Link Enabling)」などを使い,プログラム間通信を行う。SAP R/3上にアドオンの組み込みが不要であることなどを評価し,導入を決めた。