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 ERPパッケージ「mySAP Human Resources」を利用した人事情報システム。IBMホスト上で稼働していた旧システムの問題点を分析,約2年かけて再構築した。人事部門が一括管理していた人事情報を従業員によるセルフメンテナンスに移行するとともに,人事制度の見直しを反映させた。

 ERPのバージョンはSAP R/3 4.6c,データベースはOracle 8i,ハードは富士通のGP7000S モデル1000(Sun Enterprise 10000のOEM)。同社は,これに先立つ2001年4月に予算管理や財務会計,管理会計,購買在庫などの機能を統合した「新・経営情報システム」をR/3ベースで稼働させている。今回の人事情報システムは,そのインフラにモジュールを追加する形である。

 プロジェクトのボトルネックになったのは,ホスト上にあった約300種類の帳票。そのままR/3に移行しようとすると,モディファイやアドオンの本数が膨れ上がる可能性があったため,アドオンを減らす工夫を凝らした。

 第1に,帳票を見直し,150種類に半減させた。不要な帳票や統合できる帳票をリストアップすると同時に,そもそも帳票の形式で印刷する必要のないものは,データのみをローカルにダウンロードする方式で済ませるようにした。

 第2に,R/3の標準機能をとことん使い切る道を探った。アドオンは基本的に画面部分に限定し,ロジック部分は標準機能を使う方針をとった。ただ,ERPは機能が多すぎるので,要件に合致する機能があっても見つけられなかったり,うまく活用できなかったりして,アドオンで開発してしまうことが一般に少なくない。今回も例えば,必要なカフェテリアプラン機能は英語版しかなく,利用が難しかった。しかも日本企業で使うには合わない部分があったが,SAPジャパンと交渉し日本仕様に作り替えてもらうことで,アドオンの回避に成功した。

 第3に,一部の機能はホスト上のプログラムを残すことにした。大量または特殊な出力を要する印刷については,ホスト上のプリンタ・ドライバをそのまま利用している。金融機関とのテープ受け渡しについても,ホストを経由する。

 足りない機能は他のパッケージ製品で補った。通勤定期管理には「通勤定期サポーターPro」(開発はバイトルヒクマ)を活用し,R/3と連携させた。各システム間の連携は,2001年に導入したEAIツール「e*GATE」に接続するだけなので,インタフェース部分について開発/運用の負荷はあまりかからない。

 開発の大半と導入後の運用は,旧システムの運用を担当していたグループ会社のシンフォームにアウトソースした。シンフォームは,上流工程では業務要件の調査分析,システム構造設計,基本設計を担当し,下流工程ではシステム・テスト,ユーザー・テスト支援に携わった。開発作業の大半はさらに別のSIベンダーにアウトソースしたが,シンフォームも移行プログラムなど一部の開発作業にかかわることで,R/3に関するスキルの蓄積に努めた。