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野村證券がIPコール・センターの強化策を打ち出した。耐障害性を高めたIP電話/CTIシステムを9月から導入し,全国6カ所のコール・センターを1カ所で集中制御。営業店あての電話をコール・センターで代行処理するなど,店舗とコール・センターの連携により業務効率を大幅に高めている。

 インターネットや携帯電話を使って一日に何度も売買を繰り返す「デイ・トレーダー」が登場するなど,投資家の株式投資は多様化が進む一方。この動向に対応するため,野村證券はコール・センターの大幅強化という施策を打ち出した(図1)。

図1●顧客の取引形態の変化に対応しIPコール・センターの強化を進める野村證券
図1●顧客の取引形態の変化に対応しIPコール・センターの強化を進める野村證券
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電話経由の取引の急増に対応

 全国に約140の店舗を持つ野村證券では,これまで個人顧客の取引の大部分を営業店が担ってきた。しかし同社でも,最近は電話で注文を受け付ける「野村テレフォンアンサー」や,ネット型サービスの「野村ホームトレード」を利用する顧客が増加。テレフォンアンサーとホームトレードの合計取引件数は,現状で3年前の約1.8倍,取引全体の約55%を占めるまでに成長した。

 これに伴い,顧客窓口となる営業店,電話,ネットの各チャネル間の連携も重要性を増している。ネットで取引した顧客の問い合わせに応じたり営業店の業務を代行したりする機能は,もはやコール・センターにとって必須の条件。「状況に応じて顧客が各チャネルを簡単に使い分けられるサービス体制が不可欠になってきた」(上木秀明・国内IT戦略部IT推進課次長)。

 2005年以前に運営していたコール・センターは,全国で2カ所。1996年に神奈川県に開設した従来型のPBX(構内交換機)を利用するものと,2003年に沖縄県に開設したIPコール・センターの二つだ。一連の環境変化に対応するには,コール・センターの数と機能をともに拡充する必要があった。

 そこで,2005年から2006年3月の間に4カ所のIPコール・センターを開設。96年から運用していたコール・センターも,2006年3月にIPベースに刷新した。その結果,北海道,東京都,神奈川県,大阪府,沖縄県の5都道府県・6カ所で稼働する体制となった。

 1カ所に大規模な施設を用意せず,各地に分散させているのは,「人員やスペースの確保のしやすさと,災害発生時などの運用の安全性を考慮したため」(上木次長)。

 さらにコール・センターが各地に分散していても,IPベースであれば,コール・センターとは別の場所のデータ・センターで集中管理できる。コール・センターごとにPBXを設置する従来型のシステムよりも,運用コストの増加を抑えることが可能だ。

統一システムで全国の端末を制御

 各IPコール・センターのシステムは,従来は席数などを考慮して個別に最適化してきた。しかしセンターの数が増えるにつれ,運用・保守の手間が増すというデメリットが顕在化。さらに,今後見込まれる席数の増加に柔軟に応じられる体制も必要になった。

 そこでこの8月,IPコール・センター用のシステムの改良に着手。同社がデータ・センターに構築した「IP最適化基盤」と呼ぶ統一システムに移すことにした。従来より高い拡張性や耐障害性を実現すると同時に,運用保守コストの抑制を狙ったものだ。

 まずは,沖縄のIPコール・センターの管理を9月にIP最適化基盤に移行した。他の拠点も順次刷新していく。

 IP最適化基盤は,主に米シスコシステムズの「Cisco CallManager」などの呼制御サーバー群と,米ジェネシス・テレコミュニケーションズ・ラボラトリーズのCTIシステムである「Genesys」のサーバー群で構成する(図2)。両サーバー群を連携させ,オペレータが顧客情報を参照しながら顧客と通話できるようにしてある。

図2●野村證券のIP電話用ネットワーク
図2●野村證券のIP電話用ネットワーク
 呼制御サーバーとCTIサーバーをそれぞれ2重化したクラスタ構成のシステムを用途別に用意する。運用・保守を容易にするため,各クラスタの構成は共通にしてある。
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 呼制御サーバーとCTIサーバーの組み合わせ自体は従来と同じだが,「処理性能を高めるために,ハードウエアの構成などを見直した」(インテグレーションを担当した野村総合研究所の海瀬修コンタクトセンター事業部上級エンジニア)。

 例えば,従来はCTI用の「Genesys T-Server」と「Genesys Universal Routing Server」という二つのソフトを同一のハードで動かしていたが,IP最適化基盤への移行で分離。それぞれ専用のハードで運用することで処理負荷を軽減した。