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サミットの本部近くにある西永福店
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 首都圏で食品スーパーを84店舗展開するサミット(東京・杉並区)は、2007年度の重点施策として「データ活用」を掲げている。取引先に前日までの「POS(販売時点情報管理)データ」と、サミットが抱える約120万人分のポイントカードとひもづいた「レシートデータ」をそれぞれ過去13カ月分、インターネット経由で開示し、店内での顧客の消費行動や嗜好性を取引先と共同で分析していく。

 ポイントカードに含まれる個人情報はそのまま開示できないが、年齢層や性別、そして匿名の個人まで特定できるようにする。これによって、店内での顧客の行動を分析できるのが、サミットのデータ開示の特徴だ。最近は小売店が取引先に店舗のデータを開示する例が増えているが、レシートデータやポイントカードの属性データにまで踏み込んで情報を開示するのは珍しい。

 サミットは2006年12月から、主要な食品メーカーや卸業者の合計170社にデータの開示を始めた。2007年春以降から本格的に、新商品の「トライアル/リピート購買分析」や、顧客が同時に買う確率が高い関連商品を探す「併買分析」、顧客が1度の買い物で何をまとめて買うのかを探る「バスケット分析」などを実施していく。取引先がこうした突っ込んだ分析までできるのは、ポイントカードとレシートのデータがそろうからだ。単品の販売額や販売数量を示すPOSデータも、レシートデータやポイントカードと組み合わせて初めて、顧客の行動分析に役立てられる。

 営業企画部担当の石井正明取締役は「取引先に対しては、当社が見過ごしている売り場の分析や新しい仮説の立案を期待する。その検証のためには、売り場での実験に積極的に協力していく」と話す。メーカーにとっても、最大消費地の首都圏に店舗網を持ち、1日に全店で合計約25万人が来店するサミットの売り場でデータの検証ができれば、新たな売り場提案で商談を有利に進めたり、新商品の発売後検証が可能になる。

 今回の最大の特徴であるレシートデータの開示について、サミットは1年かけてメーカー各社と実験を繰り返し、その有効性を確認してきた。メーカー30社に声をかけ、2005年6月から2006年5月までの1年間、各メーカーが別々のカテゴリーを担当して様々な角度から分析を実施してきた。サミットの12店を対象に、メーカー各社が検証してみたい仮説に基づく売り場をサミットが作り、その実験結果を30社すべてに公開した。

 あるメーカーはシチューのルーとキノコの併買率を確かめ、別のメーカーは新商品が想定通りの顧客層に買ってもらえているかを確認した。ある商品を置く棚の位置やフェイス数を12店の半分ずつで変えてみて、売れ行きをデータで確認するといった実験も実施した。

 こうした実験の結果から、サミットは「レシートデータの開示が取引先との共同の売り場改善に有効だと判断できたので、データ開示を決断した」(石井取締役)。サミットは情報開示のためのシステム開発に初年度は約4000万円を投資するほか、データ分析サービスを専門に手掛けるカスタマー・コミュニケーションズ(東京・港)のサービスも利用する。一方でサミットは、情報を受け取るメーカーや卸からは、システムの利用料を徴収する。