PR

 象印マホービンは3月1日,香港・上海拠点の新しい販売管理システムを稼働させた。以前からあった香港拠点に加え,新たに上海拠点を設立するに当たり,香港拠点を中国市場の統括拠点と位置づけたため,単なる販社を想定して開発した既存の販売管理システムでは機能不足になっていた。また,香港拠点では日本とは異なる製品コードなどでマスター管理していたため,これを日本側の仕様に合わせて業務の効率化を図る狙いもあった。今後,新システムを1カ月にわたり旧システムと平行稼働させ,4月2日には全面的に新システムに切り替える計画だ。

 香港拠点には,情報システムに対する知識や経験のあるエンジニアはほとんどいない。そこで,日本の情報システム部門がシステム導入を支援する必要があった。ただ,日本の情報システム部門が導入プロジェクトを主導し過ぎてしまうと,「現地スタッフが新しいシステムを押しつけられたといった受け止め方をするかもしれない。そうではなく,自分たちのビジネスを達成するために自分たちでシステムを作るという意識を持ってもらいたかった」(経営企画部長 システムグループ長 廣瀬洋司氏)。

 そこで,まず日本の情報システム部門でパッケージ・ソフトを採用して新システムを構築するという大方針を決定。そのうえで,数回にわたって西林一弥氏(経営企画部 システムグループ サブマネージャー)が現地入りし,新システムの必要性を説明。現地スタッフの意識を改革しながら,現地スタッフによる要件固めを支援した。同時に,日本の情報システム部門から新システムの品質維持に影響力を行使できるように,「現地に開発・保守の拠点があり,日本法人から現地法人へ強い影響力を行使できる」--という条件で日系のSI業者4社を比較し,TISを選定した。2006年6月ごろにはパッケージ・ソフトとのフィット&ギャップを分析。パッケージ・ソフトとして米Microsoftの「Dynamics SL」を選定した。

 当初は,香港拠点と上海拠点のそれぞれに販売管理システムを設置する計画だったが,TISとの話し合いを通じて,システム運用もTISに委託することにした。上海にある国営のデータセンターを間借りする形でシステムを設置し,インターネットVPN(Virtual Private Network)経由で利用することにした。日本の基幹系システムとの接続にも,インターネットVPNを用いる。カンマ区切りテキスト形式のデータをFTP(File Transfer Protocol)を使って日次でやり取りする設計だ。データの取り込み処理などは,日本の基幹システム側に実装した。

 システムの開発は2007年1月には完了し,その後は移行リハーサルや研修を繰り返している。念のため,2007年3月は新旧の両システムにデータを二重入力する移行期間とした。2月締めのデータは,3月12日と13日に新システムに入力。3月14日に新旧の両システムで集計した帳票を突き合わせて最終チェックをかける。