農林中央金庫は、全国の農業協同組合(JA)が利用する勘定系システム「JASTEMシステム」の全国展開が完了したことを明らかにした。5月8日に、神奈川県、長野県、和歌山県、愛媛県のJAと信用農業協同組合連合会(信連)が、個別に開発・運用していた旧システムからJASTEMシステムに移行。1999年10月に滋賀県が移行して以降、47都道府県のJAと信連が移行を完了するまで、実に6年半を要した。開発が始まったのは1994年のことであり、12年越しでプロジェクトを完遂した。
JASTEMシステムは、JAの金融事業のための全国統一システムである。当初は、47都道府県の信連と農林中金が共同で設立した「農協系統信用システム共同運営」と呼ばれる企業がシステム開発プロジェクトを主導していた。システムを共同化することで、コストを削減する狙いがあった。
しかし、JASTEMの稼働は約9カ月遅れの1999年10月にずれこんだ。その上、システム移行コストなどがネックとなり、各信連の移行が進まない。そのためシステム利用収入が増えず、農協系統信用システム共同運営は2002年3月に解散に追い込まれた。開発・移行プロジェクトは、農林中金が引き継いでいた。
全国展開を完了したことで、JASTEMシステムで管理する顧客数は約4500万人、貯金量は約79兆円に上る。全国のJA約1万800店舗にある、2万2400台の端末から利用できる。