ビジネスプロセス・アウトソーシング・サービスを提供するアグレックスは3月28日,ITサービスマネージメント(ITSM)に関する国際規格「ISO20000」認証を取得したと発表した。対象となったのは,保険代理店システムのヘルプデスク・サービスとその運用・保守。ニッセイ同和損害保険などにサービスを提供している同社のEUC事業部が,審査登録機関であるBSIジャパンの審査を受け,認証を得た。
ISO20000は,ITSMに関する英国の規格「BS15000」をベースにした国際規格。ITサービスを効率的に管理するためのフレームワークなどが示されている。アグレックスは,2005年11月にISO20000が発行されたことを機に,2006年4月より認証取得に向けた改善活動に取り組んできた。
その対象の一つが,ニッセイ同和損害保険における保険代理店システムへのヘルプデスク・サービスである。アグレックスは2001年6月より,ニッセイ同和損害保険の東日本の代理店,約2500店からの問い合わせに対応している。代理店業務支援システム「WIND」などの操作方法だけでなく,計上の仕方など業務的な問い合わせにも対応。最近の実績で,1日当たり200~250件の問い合わせがあるという。
今回,「約20人のメンバーが定常のヘルプデスク・サービスを提供しながら,業務改善の専任メンバーを3人加え,約半年をかけてISO20000取得に向けて活動した」(アグレックス EUC事業推進部 事業推進グループ マネジャー 工藤玲子氏)。その内容は,(1)SLA(Service Level Agreement)作成,(2)現状とSLAとのギャップ分析,(3)文書化,(4)導入・運用,(5)内部監査,(6)マネジメント・レビュー,(7)継続的な改善活動,というステップで進めた。SLAについては,これまで契約書ベースだったものを,改めて明文化。「電話応答率」「問い合わせ回答率」「ソフトウエア障害復旧」などの項目に対して,アグレックスが原案を示し,ニッセイ同和損害保険がレビューする形で合意を重ねていった。
「アグレックスは,システムの操作指導にとどまらず,自主的に幅広く業務をとらえた対応をしてくれている」。ニッセイ同和損害保険の中島一郎氏(情報システム部 IT企画室長)は,これまで受けてきたヘルプデスク・サービスをこう評価する。こうした評価を支えているのが,アグレックス社内で行っているヘルプデスクのための教育である。例えば,「2003年から,損保業務を中心とした月次の実力テストをメンバーに対して行っている」(アグレックス 執行役員 小川武郎氏)。BSIジャパンの審査コメントを見ても,こうした前向きな取り組みは高く評価されている。