森永乳業が企業内大学を積極的に活用している。別海工場(北海道野付群別海町)で2007年度中に稼働を予定しているチーズ製造棟の立ち上げ要員は、同社の企業内大学「森永ミルク大学」で研修する。2006年5月に稼働を始めた神戸工場の立ち上げメンバーも同大学で研修を積んだ。
同社には現在、「ミルク大学乳業技術学部」「ミルク大学乳業経済学部チーズ販売課程」「セールス大学」「経理大学」「酪農カレッジ」「マーケティング大学」の6つの企業内大学が存在する。昨年6月開校のマーケティング大学以外、いずれも2002年から2004年にかけて開講しており、定期的に若手・中堅メンバーを育成する場として活用してきた。延べ700人近くが卒業もしくは受講中だ。
企業内大学の管轄は人事や教育研修を担当する部署ではなく、生産や営業、経理の各部門。現場で必要とされている技術やノウハウを熟知しているメンバーがカリキュラムの作成に当たる。ミルク大学の場合、工場長の経験を持つ小野田顯正専務が自ら学長を務めている。「理論だけではなく実習・実技を重視する」(小野田専務)ことが基本方針だ。
もともと、経理大学とともに先頭を切って2002年9月に開校されたミルク大学乳業技術学部は、ベテラン社員の定年に備えて乳業に関する技術伝承が目的だった。ベテラン社員が練り上げた200種類前後の講義を組み合わせたカリキュラムは3カ月続く。講義ごとの試験だけではなく、中間試験や卒業試験も存在し、卒業試験は4~5時間にも及ぶ。工場での実習の都合上、1回の参加者は15人に限られる。
近年ではインドネシアでの合弁企業から研修生を受け入れたり、外務省に依頼されてロシアからの研修生を受け入れるなど「留学生」も少なくない。別海工場の要員育成は今年秋ごろになりそうだ。「勉強を面白く感じてほしい」と小野田校長は語る。