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NDPSを推進する生産・技術企画部の船津丸恭滋執行役員常務(左)と、NDPS推進部の山崎公シニアエキスパート(右)
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 日産ディーゼル工業は、同社が新しく開発した生産方式「NDPS(日産ディーゼル生産方式)」に基づいた改善運動を、この4月から海外拠点や国内の全販売会社の整備部門へ展開する。

 NDPSは、2003年から本社工場内で取り組んできた生産革新活動。その狙いは、顧客からの受注と生産を同期させることで、工程間の仕掛かり在庫を削減することだ。同期生産を実現するには生産部門の各工程で改善活動を進める必要があるが、既にその成果が出始めている。そこで、4月には専門部隊「NDPS推進部」を設置して、本格的に海外拠点や国内の全販売会社の整備部門へ考え方を水平展開していくことにした。

 NDPSは、各現場が統一した手法で改善に取り組んでいるのが特徴である。NDPSで決められた6つの手順で取り組んでいく。まず、中期経営計画で設定された経営目標から落とし込んだ各部門のあるべき姿を決める。現状と差を埋めるために改善計画を立案して取り組む。現在180テーマが活動している。汎用性のある項目を設定しているため、全工程で同じ指標を用いている。統一した項目を用いることで、工程別の弱点や改善レベルが一覧できる。

 まず、目標設定するために競合他社をベンチマークしながら現状分析する。具体的には、部品棚には手を伸ばせるだけで届く「ストライクゾーン」が全体の何%あるのか、異常が発見された場合に何分以内に対応できるのかなど5段階で評価する。業界トップレベルをレベル4に設定し、すべての項目が越えるように改善策を考える。

 ストライクゾーンであれば80%以上越えればレベル4となる。指標に当てはめていくことで、自らの工程の課題が見えてくる。こうして改善テーマを設定して、取り組み効果を検証する。効果のあった仕組みは標準化して、ほかの部門にも水平展開していく。変速ギアに用いる「T/Mサブシャフト加工工程」では、1台当たりの工数が36.1分から20.5分まで短縮するなど成果が出ている。

販社の整備部門でも既に先行導入

 NDPSは、生産技術や工務部門など事務職にも展開している。労務費や予算の実績管理など課をまたいで作成する48の帳票を対象に改善活動に取り組んでいる。部門の予算実績管理の帳票作成時間は従来の2分の1になったという。

 まず一連のプロセスで発生するものをすべて壁一面に張り出す。メモや帳票のほか、メールやシステム上で入力する画面といったものまで印刷する。最終成果物の帳票からさかのぼって、帳票同士の関係を線で結びながら情報の流れを洗い出す。複数の部門で同じ集計作業を行っているといった効率の悪い作業を探していく。その際、リーダーはほかの部署の部長が担当する。その理由について生産・技術企画部の船津丸恭滋執行役員常務は、「普段からその帳票を見慣れている人では問題点が分からないからだ」と説明する。

 これらの成果を、業務が似ている全国に16ある販売会社の整備部門へ導入する。先行して、2006年10月から中部日産ディーゼルなど2社で導入した。車検獲得率や整備不具合発生率など整備部門向けの項目も設定するなど、全国展開に向けたひな形づくりに取り組んでいる。

 改善活動を通して、車検業務において予約から納車までのプロセスを効率化させ、販売会社の収益力強化につなげたい考えだ。整備工場には製造ラインと同じように工具が並んでおり、ストライクゾーンなど同じように測定できる項目が多いため導入を決めた。

 ただし、「目標設定の仕方や課題の見つけ方など手法を移植するのが我々の役割」とNDPS推進部の山崎公シニアエキスパートが話すように、細かい改善事例までには踏み込まない。日産ディーゼルから担当者を常駐させることはなく、月に1度の指導会を開催して販売会社に考え方が根づくことを目指す。

 日産ディーゼルはスウェーデンのボルボ社の完全子会社化となる予定である。ボルボもNDPSに興味を示しており、船津丸常務が今月にスウェーデンでボルボ社内向けに講演する予定。「これまで培ってきたノウハウをボルボグループでも貢献したい」と船津丸常務は意気込む。