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カルビーは、沖縄県にあるバックアップ・センターの機能を強化している。段階的にメインのシステムを移行。首都圏のデータセンターをバックアップとして縮小し、コスト削減につなげる計画だ。沖縄県が無償で提供する高速回線の存在が、それを可能とする。

 地震リスクが低いことと、コスト・メリットがあること――。カルビーが昨年11月末に沖縄県でバックアップ・センターを稼働させたのは、この二つの理由からだ。

 戦略グループIT企画グループの梶ヶ野恭行リーダーによれば、「沖縄県は地震の活動度合いを示す計数が全国で最小値」。仮に日本のどこかで地震が起きたとしても、メインのデータセンターがある神奈川県と同時に被災する可能性は極めて低い。

 メインとバックアップの距離が離れているとデータ転送のコストがかかりそうだが、その点は問題ない。沖縄県は産業誘致のため、1500km以上離れた東京との間の高速回線を無償で提供しているからだ。センターからアクセス・ポイントまでの回線は自社で用意する必要があるものの、100Mビット/秒の基幹回線の利用は無料だ。対外的に回線提供は2007年度までとしているが、県の担当者は、「予算化の都合で期間を区切っているだけ。やめると決めているわけではない」と語る。

 センターとして選んだのは、沖縄電力系のファーストライディングテクノロジー(FRT)が運営するもの。神奈川のセンターで稼働する受注や会計/販売管理といった基幹業務システムのデータをリアルタイムで伝送している()。災害時には、首都圏の災害の影響を受けにくい北関東拠点の社員が切り替え指示を出す。

図●カルビーは沖縄にバックアップ・システムを設置し、データをほぼリアルタイムで複製している
図●カルビーは沖縄にバックアップ・システムを設置し、データをほぼリアルタイムで複製している
首都圏ではグループウエア、鮮度/品質管理、顧客管理、データベースなどを稼働させている。点線はバックアップのシステム

 カルビーは今後、メインとバックアップのセンターを逆転していく。「新しいシステムは沖縄をメインとするほか、既存システムも段階的に移行する」(梶ヶ野リーダー)計画だ。利用料が割高な神奈川のセンターはバックアップとして縮小し、コストを圧縮する。すでに電子メールとインターネット接続用のプロキシは、沖縄センターのサーバーをメインとして運用中である。

 現在、メインのセンターが被災しても、4時間以内には確実にバックアップ側でシステムを稼働させることができる。最大でも、被災時から30分さかのぼった状態にできることをうたっており、実際には数分前には戻せるという。ただ、切り替えをしないことがベスト。その点でも地震リスクの低い沖縄をメインにするメリットがある。

 一般業務も沖縄県に集約する。2006年1月には全国の営業員を支援するバックオフィスを那覇市内に設置し約30人が勤務中。他の業務も徐々に移管し、情報システムの管理と併せて沖縄における運用体制を整えていく。BCP(事業継続計画)の整備も進めている。今は受注と商品出荷を災害時も稼働させる業務としているが、2007年中は原材料などの発注業務のBCPを策定するなど、幅広い業務へ広げる計画だ。