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写真1●経営企画室システムソリューションセクションの小熊和弥シニアリーダー
写真1●経営企画室システムソリューションセクションの小熊和弥シニアリーダー

 アイケイコーポレーションは,バイクの買い取りサービスを提供する「バイク王」を展開する企業である。バイクを売りたい顧客のために,持ち込みができる店舗を全国に設けると同時に,出張買い取りを実施している。

 2007年4月,同社はシン・クライアントの導入を開始した(図1)。経営企画室システムソリューションセクションの小熊和弥シニアリーダー(写真1)は,「顧客の個人情報は商売の肝。パソコンで扱っていた顧客情報の漏えいを防ぐことがシン・クライアントの導入目的だ」と言う。



図1●アイケイコーポレーションは2007年4月にシン・クライアントの導入を開始した
図1●アイケイコーポレーションは2007年4月にシン・クライアントの導入を開始した
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 また,同社の拠点は全国に散らばっているため,パソコンが故障すると引き取って修理して送り返す作業に1週間を要することがあった。こうした手間と時間がかかっている状況を改善することも,導入の狙いである。

まず80台のブレードPCを導入

 今回導入したシン・クライアントは,「ブレードPC型」と呼ばれるタイプである。データ・センターなどに多数のブレードPCを挿したサーバーを配置する。ブレードPC1台(形状で見ると1枚)でクライアント・パソコン1台を稼働させる仕組みだ。このブレードPCに,シン・クライアント端末からアクセスする。同社は2006年9月からテストを重ね,トラブルがないことを確認したのち,本番稼働に踏み切った。

 アイケイコーポレーションが導入したブレードPCは,米クリアキューブ・テクノロジーの「ClearCube Model R1200」である。日立システムアンドサービスから購入した。現時点で約80台分のブレードPCが,サーバー類を置いた「インフォメーションセンター」で稼働している。各ブレードが搭載するメモリーは,画像処理ソフトを使う社員向けが2Gバイト,業務用Webアプリケーションやオフィス・ソフトなど汎用的なアプリケーションを使う店舗のものが1Gバイトである。

クライアント端末はパソコンを併用

 現在,クライアントとして使っている端末は2種類ある。一つは新たに導入したシン・クライアント端末で,米ワイズテクノロジーの「Wyse S10」である。これを約10台,システムソリューションセクション(情報システム部門)などに導入した。この端末は,今後店舗に順次導入していく予定である。導入コストは,ブレードPCとシン・クライアント端末で1ユーザー当たり30万~50万円くらいだという。

 一方の本社では,既存の資産を使い続けることにした。既設パソコンに搭載されているWindows XPのリモート・デスクトップ機能を使って,インフォメーションセンターのブレードPCにアクセスする。つまりパソコンはそのままだが,アプリケーションとデータはブレードPC側にあるという構成にする。パソコンからリモート・デスクトップへの移行は,ブレードPCの追加とともに順次実施していく予定である。

 インフォメーションセンター内にあるコール・センターは,現状のパソコンのままである。コール・センターは生体認証やカメラ監視によるセキュリティを確保しているが,店舗は不特定の人の出入りが想定されるため,店舗への導入を優先した。コール・センターのパソコンも,今後シン・クライアントにしていく考えだ。

インターネットVPN経由でアクセス

 リモート・デスクトップを使うパソコンがある店舗や本社と,ブレードPCサーバーがあるインフォメーションセンターの間は,インターネットVPNで結んでいる。店舗や物流センターなど,多くの拠点はBフレッツ1回線を使いインターネットに接続している。拠点によってBフレッツのサービス品目は異なるが,20M~40Mビット/秒の速度が出ているという。このほかバックアップ用として,通常はビデオ会議に使用しているフレッツ・ADSLを使えるようにしてある。

 シン・クライアントを使い始めてまだ日が浅いが,不満は出ていない。小熊シニアリーダーは,「あまり変化は感じていない。パソコンがある場所が変わっただけという感じ」だという。

仮想PC型も組み合わせる

 シン・クライアントの導入作業は進行中であり,今後,どのような形で全社展開していくのかについては流動的な部分が残されている(図2)。

図2●今後のシン・クライアント整備計画
図2●今後のシン・クライアント整備計画
順次ブレードPCを追加し,そこにリモート・デスクトップでアクセスするようにする。今後,リアルタイム性や高パフォーマンスを求める業務以外で使うクライアントは,仮想PCに移行することを検討するという。

 例えばリモート・デスクトップを使うパソコンの処遇。これらは,普通のパソコンをそのまま使い続けているので,ハード・ディスクが内蔵されたままであるなど,情報漏えい対策は十分ではない。内蔵ディスクやUSBメモリーなどを使わせないといった対策を検討し,実施する意向である。

 これと並行して,ブレードPC以外のシン・クライアントを導入し,それぞれの機種の特徴に見合った用途で使い分けることを計画している。一案は,「仮想PC型」と呼ばれるシン・クライアントの導入である。仮想PCには複数の種類があるが,総じて物理的な1台のサーバー上で複数の仮想的なクライアント・パソコン環境を稼働させる仕組みだ。

 同社は仮想PC型を“ブレードPCよりも安く調達できるものの,パフォーマンス面ではブレードPCに見劣りするのではないか”と見ている。「リアルタイム性やハイパフォーマンスを求める業務ではブレードPC型を使う。仮想PC型はそれ以外の業務を対象にする考えだ」(小熊シニアリーダー)。例えば,買い取り依頼を受け付ける部門は,依頼内容を聞いてスケジュール管理する作業をほぼリアルタイムで実施する必要があるため,ブレードPCに移行することを考えているという。

 両タイプともシンプルな方式なので,管理の手間はそれほど増えないと見ている。