綜合警備保障(ALSOK)は、今年4月に基幹系システムの全面刷新を完了する。会計や人事に続き、警備全般の管理業務をオープン系で再構築。業務プロセスを見直すことで、業務効率を大幅に高めた。総投資額は50億円に達する。年間19億円のコスト削減効果を見込む。
ALSOKは基幹系刷新の一環として、昨年4月に財務会計と人事・給与システムを再構築している。今年4月に「営業システム」が稼働することで全面刷新が終了する。営業システムは、顧客への「見積もり」や「受注」、顧客に貸し出す防犯機材の「工事」などの業務を管理する(図)。
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図 セブン銀行が今年1月に稼働させた新勘定系システムの概要 財務会計と人事・給与システムは2005年4月に先行稼働させた |
従来、同社は積算・見積もりから契約、工事、請求・入金といった業務を、複数のシステムで別々に処理。帳票類で部門間の情報を共有していた。これを一つのシステムに統合することで、業務処理の効率を向上させる。これに伴い従来の帳票類が、6割以上不要になる。
同社は2003年2月からコンサルティング会社のブーズ・アレン・アンド・ハミルトンに依頼して、業務プロセスの見直しを進めてきた。その結果、業務効率の改善には基幹系システム全般の刷新が必要と判断した。
ALSOKの黒崎洋システム部長は、「以前は、各業務システムの間でデータをやり取りする仕組みがなかったので、同じデータを二重入力しなければならないケースがあった。すべてのシステムに正確なデータを反映し、集約するまでに、1週間程度かかることもあった」と語る。新システムによって同社は、人件費や間接費などを合わせて、年間19億円程度を削減できると見込んでいる。
営業システムはJavaで新規開発した。「会計や人事などと異なり、警備業の営業や工事などの業務は特殊性が強い。パッケージを使うと、大規模なカスタマイズが発生する可能性が高いので、ゼロから開発することにした」(黒崎部長)。開発作業は日本IBMが担当している。
営業、財務会計、人事・給与といったシステムの構築に投じた費用の合計は約50億円である。2005年3月期の同社の経常利益が116億円だから、その半分近くになる。そこでALSOKは、万が一のリスクを軽減するため、ベンダー選定作業の支援やプロジェクトの監理も、ブーズ・アレンに依頼した。
黒崎部長は、「第三者の立場から、プロジェクトの進捗状況を厳しく、冷静にチェックしてもらった」と説明する。「当社だけでは到底できなかっただろうスケジュールや予算の管理を徹底できた。予定通りに新システムは稼働する」(同)。
ALSOKは、業務コンサルティングとベンダー選定支援、プロジェクト監理を合わせて、2億円以上のサービス料金をブーズ・アレンに支払った。