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 全日本空輸(ANA)が国内線の予約・発券システムを全面刷新する。30年近くメインフレームで動かしてきたシステムを、オープン・システム上に再構築する。新システムへの移行により約70億円を抑制できる見込みだ。それに向け、日本ユニシスと10年間の包括契約を結んだ。

 ANA が再構築するのは、国内線の予約から発券、搭乗手続きまでを処理するシステム「able-D」である。約1万台の端末がつながり、1日最大650万トランザクションを処理する同社の中核システムだ。30年近くメインフレーム上で運用・保守してきたが、2012年内を目標にオープン・システム上で全面刷新する(図)。総投資額は200億円を超えるとみられる。

図 全日本空輸(ANA)は2012年をメドに、国内線の予約・発券システムを日本ユニシスへの包括委託契約により全面刷新する
図 全日本空輸(ANA)は2012年をメドに、国内線の予約・発券システムを日本ユニシスへの包括委託契約により全面刷新する

 今回、システムの全面刷新に踏み切る狙いについて、IT推進室システム企画グループの松本恭典主席部員は、「運用費の削減や保守効率を高めるには、レガシーな技術や製品で作ったシステムとは決別したほうが得策と判断したため」と話す。

 一例として、現行システムが採用する米ユニシス製パッケージ「USAS」の開発言語、FORTRANを挙げる。ANAは、「FORTRAN技術者は今後、減るだけだろう。結果、エンジニアの単価が上がり、当社の負担は大きくなる」(松本主席部員)とみる。

 新システムで利用する米ユニシス製パッケージ「AirCore」の開発言語はJava。「全世界でみれば技術者数は多いし、特定プラットフォームに依存しない点も評価できる」(同)という。販売手法や料金などの改定に伴うアプリケーション変更期間の半減も期待する。

 プロジェクトは、この4月から動き出している。まず07年4月に向けて、ハードウエアだけをリプレースする。現行システムを動かしているメインフレーム「ITASCA3800」(米ユニシス製)の保守サポートが切れるための暫定策だ。同じメインフレームの新機種「CS380D Server」(同)に単純移行する。その後、予約や発券、搭乗といった業務単位でオープン・システムに切り替えていく。
 今回のプロジェクトに伴いANAは、日本ユニシスと10年間の包括委託契約を締結した。来年4月の新メインフレーム導入や、新システムの開発・運用・保守といった業務を委託する。「able-Dはシステム規模や業務数が大きいため、プロジェクト期間も長い。個々に契約するよりも、長期の委託契約を結んだほうが、コスト・メリットは大きい」(松本主席部員)としている。契約金額は公表していない。

 ただし同社は、今回の包括委託契約は、「一般に言われるアウトソーシング契約ではない」(松本主席部員)と強調する。ANA本社のIT部門(40人)や情報システム子会社「全日空システム企画」(600人)の人員数や役割を維持し、日本ユニシスと共同でable-Dの再構築に当たるとしている。

 新システムの稼働環境となるUNIXサーバーまたはWindowsサーバーについても、「ユニシス製品を導入すると決めたわけではない」(同)という。OSを含めたハードウエアの選定作業が本格化するのはこれからだ。