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5000社からの注文を2人で対応

 取引先に対しても同様に、掘り下げて分析できる。約5000社ある取引先別の売り上げのほか、利益額の順でも一覧できる。これまで一律に販促費をかけてきたが、貢献度に応じて販促費を増やすなどメリハリをつけられるようになった。

 これを後押しする機能がSTARSには備わっている。帳合い機能がそれだ。商流はマロニー→1次代理店→2次代理店だが、注文は2次代理店から直接届く。2次代理店は必ずしも1つの1次代理店だけから仕入れるとは限らない。代理店同士の関係は、各工場に配置していた計7人の受注担当者が過去の納品履歴で把握しているなど属人化したノウハウだった。

 システム導入により、1次と2次代理店の取引関係をすべて整理して、STARSに盛り込んだ。受注部門に2次代理店から注文があれば、可能性のある1次代理店を一覧表示できるようになった。システム化することで、5000社の取引先からの注文を2人の受注担当者でこなせるようになった。

 同時に営業部門の改革にも取り組んだ。情報が見えるようになっても、担当者の意識が変わらなければ活用できないからだ。上野部長が取り組んできたのは、数字に対する責任を持たせることである。「競争する気持ちが足りなかった」と上野部長は振り返る。

 期初に立てる数字も金額ベースの総額で、商品別に積み上げない根拠に乏しいものだった。「期末になってみないと分からない、出たとこ勝負の営業体制」だったのだ。生産計画の根拠ともなる数字があいまいだったのだ。

第2の柱を育てる

 営業部門の改革にも取り組み、目標管理制度を導入した。営業担当者は半期ごとに損益を基にした目標を設定する。表彰制度や達成度合いに応じて、給与に30%の差がつく。損益を軸に評価するので、売り上げの大きい大手販売店を担当している社員でなくても収益に貢献すれば評価対象になる。各担当者の状況は、予算通りなのかどうかの星取表を作り競争心をあおっている。

 だが、ただ数値が良ければ評価されるのではない。自らが立てた目標に対して、20%ブレれば評価対象から外す。「想定以上に売れれば生産部門などに迷惑をかけているので評価できない」(上野部長)からだ。期中に目標額に到達するのかどうかも早く分かるので、早めに対策が打てる。

 さらに、冬場の需要に頼り放しの一本足打法からの脱却を目指している。鍋の具材ではないマロニーの開発だ。2006年8月に商品開発課を新設。焼マロニーや坦々麺など新しい食べ方を提案するために味のついた商品を相次いで発売した。河内社長は「マロニーに次ぐ、第2、第3の柱を育てたい」と意気込む。

10年手帳で経営の大局つかむ
河内社長が愛用する10年手帳。都道府県別の売り上げ情報など手書きでびっしりと記されている
河内社長が愛用する10年手帳。都道府県別の売り上げ情報など手書きでびっしりと記されている

 私は常に「10年手帳」を持ち歩いてます。10年分が1冊にまとめられた手帳で、都道府県別や取引先別などの売り上げ情報など詳細な情報がすべて詰まっています。1972年からの情報を記録し30年以上分あるので4冊になりました。大局をつかめるので、肌身離さず持って歩いてます。例えば今年は暖冬でしたが、同じように暖冬だった3年前よりは業績が良いといったことも手帳を見れば分かります。

 手帳をつけるきっかけとなったのは、40歳まで専業主婦をしていたからです。ゼロから勉強するしかありませんでした。入社当初は毎日、過去の財務諸表を手帳に書き留めて状況を把握しようとしました。取引先など社外の人に、何か聞かれた時にすべて答えられるようにしたかったのです。いつしか都道府県別の人口まで書き留めるメモ魔になってしまいました。

 10年前には経理システムを導入したため、画面を見れば済むのですがそれでも続けています。書いて手を動かして覚えることで、数字の悪い項目やトレンドに気づくからです。システムを見れば理解したような錯覚に陥りがちな社員にも手書き手帳を薦めています。(談)

河内 幸枝 社長   河内 幸枝 社長
かわち ゆきえ氏●1943年生まれ。1984年に父親が創業したマロニーに入社後、同年10月取締役に就任。1991年より現職