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 ベアリング大手の日本精工は、国内工場で始めた化学物質管理システムの活用を、2008年度にも海外の一部工場に広げる。

 化学物質管理システムは、自社の製品にどのような化学物質を使用しているのかといった情報を管理するもの。約1万3000種類の化学物質について、国内外の法規制や顧客の納入基準で定められている条件に合致しているかどうか把握できる。

 新システムは今年1月に稼働し、国内工場の設計や品質保証担当者を中心に200人が利用してきたが、海外の一部工場にも対象範囲を広げる。今後見込まれている規制強化に対応していこうというものだ。日本精工の海外工場は現在、世界に34カ所ある。このうち「まずは10拠点にシステムを入れることを検討している」(コンプライアンス本部総合環境部の中道治部長)という。

 日本精工の主要納入先である自動車メーカーや電機メーカーは、化学物質の使用規制への対応が急務となっている。欧州では、乗用車などに鉛や水銀など4物質の使用を禁止する化学物質規制「欧州ELV(廃自動車)指令」が発令されたり、電気製品への化学物質の使用禁止を決めた「Rohs規制」があったりする。欧州ではさらに、自動車や電気製品以外でも、条件によって化学物質の登録を義務づける「REACH指令」も控えている。

 こうした規制強化に伴い、自動車メーカーや電機メーカーの中には、日本精工のような部品メーカーに対して、当局の規制内容よりも厳しい基準を独自に設けて対応を求め、適合していることを証明する情報の提出を要請する企業もある。

 この証明には、ベアリングを構成する部品における化学物質の使用状況はもとより、日本精工内の生産工程における使用状況を証明する仕組みが必要になるという。そこで日本精工は、調達部品と生産工程の両面から化学物質の使用状況を管理できるような仕組み(化学物質管理システム)を1億円かけて構築した。

調達先の調査の手間を軽減

 日本精工は現在、1万3000種類の化学物質の使用の有無を管理している。この中には、主要納入先約30社が独自に使用を規制する約500種類も含まれている。

 化学物質管理システムではまず、調達先に、日本精工へ納入する部品に関して化学物質の使用の有無や使用量をウェブ経由で送信してもらう。日本精工は、送られた情報をデータベースで一元管理することで、設計や品質部門といった化学物質情報の必要な部門が同じ情報を閲覧できるようにしている。

 このシステムでは、調達先の調査業務も軽減させている。ベアリングなどの製品は、同じ材料を使っていても、寸法や形状の違いによって品番が異なってしまう。品番ごとに化学物質の使用状況を報告してもらっていては、調達先の手間が大きすぎる。そこで、品番ではなく、材料単位での使用状況の報告にすることで、調達先の調査提出の手間を「数百分の1にまで減らせた」(中部長)という。

 生産工程での調査は、国内工場ごとに設置している生産工程データベースから、塗料や防錆油など工程内で使用した副資材における化学物質の含有量を取り出すようにした。この調達部品と生産工程の2つの情報をまとめて、納入先である自動車メーカーなどに提供している。

 これまで化学物質の調査では、専門部隊「化学対策プロジェクトチーム」を結成して取り組んできた。「営業部門からは『この製品は納入しても大丈夫か』といった問い合わせがひっきりなしにきていた」と化学物質管理室の林朝隆室長が語るように、作業量は膨大だった。

 自動車メーカー向けの部品は、新車販売終了から最低でも8年間は供給できる体制にしておかなければならないなど商品点数も多い。「禁止物質を使っていないか、設計担当者と手分けして100万枚におよぶ設計図面を確認したこともあった」(林室長)という。新システムで正確に早く確実な作業ができるようになる。