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 三菱重工業の名古屋航空宇宙システム製作所が、航空機やロケットの設計、製造過程で生じた不適合などの「失敗情報」約100件をデータベース化し、日常業務の改善に生かしている。

 データベースでは、従来各部門に散在していた不適合や是正に関する情報を収集し、技術、人、プロセスのそれぞれの視点で原因と対策を分析。背後要因を勘案しながら他の部門でも汎用的に利用できるよう「知識化」している。

 失敗学の権威である東京大学名誉教授の畑村洋太郎氏が提唱するフレームワークに準じて構成した。2003年からの取り組みによって、顧客満足度調査の結果が向上するという成果を得ている。

日常業務に落とし込む


失敗データベースの構築を主導した、原欣資ボーイングプログラムオフィス主幹プロジェクト統括
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 「失敗情報を整理、蓄積するだけでは実際の業務では役立たない。日常業務で活用できるプロセスを作りこむことが必要」。2007年3月まで品質保証部長を務めた原欣資氏(現・ボーイングプログラムオフィス主管プロジェクト統括)はこう話す。このため品質保証部が運営するイントラネットでは、毎月「メモリアルカレンダー」を掲載して、過去にその月にあった不具合や事故に関する情報を掲載し、各部門の朝礼などで再発防止への意識を高める。

 品質検査の担当者が利用する検査指導票にも、過去にその検査に関連して生じた不適合やヒヤリハットに関する情報を掲載する。データベース化された情報に加え、同製作所の顧客である米ボーイングなど完成機メーカーから得た不適合情報も反映させた。

 書面だけでなく、現地、現物で失敗を疑似体験する場も設けている。例えば、失敗情報を横展開する「事例横通し発表会」では、過去に不具合のあった機体の製造現場に、他の機体の担当者を集めて、不具合の発生状況や是正措置を説明する。これに対して、他の部門の代表者は、自部門で同様の不具合が起こらないようにするための対策も発表する。

 部品製造などを請け負うパートナー企業に対しても、半年に1度程度の割合で失敗情報をもとにした自主点検シートを配布し、各社の製造、検査プロセスをチェックし、問題があればその対策などを提出してもらう。