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現地採用で誕生したマネジャーが中心となって改善活動を進めるチェコ工場
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 ダイキン工業の生産革新が進んでいる。

 ルームエアコンの主力工場である滋賀製作所では、工場内における生産リードタイムがこの4年間で85%短縮した。2003年11月時点では68時間かかっていた生産リードタイムは、2004年8月に20.7時間へ、2007年5月には10.4時間まで短縮した。今年度は8時間にまで短縮することを狙っているという。

 ボルトを減らしたり、刃具の交換時間を短くしたりするなど、製造品目を変える際に発生する段取り替え時間の短縮に努めてきた。これにより、シェア向上による増販に対応するとともに、仕掛かり在庫も減らしてきた。

 これらの成果を支えたのが、ダイキンが30年近く前から取り入れているトヨタ生産方式をベースにした生産方式によるものだ。「ハイサイクル生産」と呼ぶ同社の生産方式は、トヨタ式にエアコンの生産特性を加えて、ダイキン流にしたものだ。生産能力と、稼働時間内に生産停止時間がなく正味活動した割合を表す可動率(べきどりつ)の向上を目指して取り組んでいる。

 この生産方式に磨きをかけるため、今でもトヨタ自動車から学んでいる。指導役となっているのが、トヨタ自動車の銀屋洋顧問である。銀屋氏は2006年6月までトヨタの技監を務めた。トヨタの技監といえば、トヨタ流の技術・生産を極めた最高峰の称号を持つ人物を意味する。数カ月に1度滋賀製作所を訪れてもらい、銀屋氏が直接指導する。指導の結果、可動率向上やリードタイム短縮などの成果につながっている。

海外工場向けの人材育成プログラムも

 日本で培った改善ノウハウを海外拠点にも展開している。その1つが、欧州にあるチェコ工場だ。「工場の設計段階から、これまでの改善ノウハウを結集させた生産拠点」(空調生産本部の藤井隆幸生産技術部長)である。

 同工場におけるルームエアコンの室内機の製造量は、2005年度が29万6000台だったものが、今年度は62万台と2.1倍を見込んでいる。生産量を拡大させる一方で、出荷リードタイムや部品在庫を削減してきた。生産完成から販売拠点に到着するまでの出荷リードタイムを3.5日にまで短縮。部品物流も改善することで、部品在庫は21日分が14日分へと最大で3分の2にまで減少したという。

 こうした改善を継続して行えるように、人材教育に力を入れている。「ものづくりは人づくりである」と空調生産本部長の萩原茂喜取締役が話すように、工場立ち上げ時には30人の技術者を日本から派遣してダイキン流の考え方を指導してきた。

 現地採用の従業員にダイキン流の考え方を体系立てて指導するために、「インダストリーズチェコ製造課育成プログラム」と呼ぶ人材育成プログラムを作った。3年かけてマネジャー育成を目指すものである。

 具体的には、作業改善に必要な問題解決能力や人員計画といった生産工程の管理能力など、現地工場を引っ張るだけのノウハウを身に付けさせるものである。既に現地採用の従業員から登用したマネジャーを誕生させた。人材育成を通じて、日本で培った改善ノウハウを現地に根づかせたい考えだ。