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 ジョイフルは大分市に本社を構えるファミリー・レストランのチェーン店。現在,宮城県から沖縄県まで全国708カ所に店舗がある。郊外型の店舗展開と,低料金のメニューが特徴だ。

 同社は2006年10月にビデオ会議システムを導入した(図1)。出張回数の削減と,社内コミュニケーションの活性化が狙いである。

図1●ジョイフルは全国22拠点にまたがるビデオ会議システムを構築した
図1●ジョイフルは全国22拠点にまたがるビデオ会議システムを構築した
本社にポリコム製の「VSX 7000e」を2台,21カ所のエリア・マネージャー事務所に同「VSX 5000」を設置した。 [画像のクリックで拡大表示]

 ビデオ会議システムは本社と全国21カ所にある「エリア・マネージャー(AM)事務所」に配置した。AM事務所は東北エリアや関東エリアなど,地域ごとに複数の店舗を統括するオフィスである。

 システムのカメラやマイク,映像のコーデック機器にはポリコムジャパンの「VSXシリーズ」を使う。本社には「VSX 7000e」を2台,各AM事務所には「VSX 5000」を1台ずつ設置する。本社には複数拠点との同時ビデオ会議を実現するための多地点接続サーバー「Polycom ReadiConvene」も導入した。

 映像のコーデック方式には現在主流となっている「H.264」を用いる。ディスプレイには,大型プロジェクタやPDP(プラズマディスプレイ)を採用した(写真1)。

写真1●ジョイフルでのビデオ会議の様子。映像はプロジェクタやPDPに映し出す
写真1●ジョイフルでのビデオ会議の様子。映像はプロジェクタやPDPに映し出す
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週1回の大分出張を削減

写真2●ビデオ会議システムの導入を担当した美藤克成・経営企画室長
写真2●ビデオ会議システムの導入を担当した美藤克成・経営企画室長

 ジョイフルはビデオ会議システムを導入するまでの間,21カ所のAM事務所にいるエリア・マネージャーが会議のために週1回大分まで出張していた。「仙台や東京などのエリア・マネージャーが毎週大分まで来るのは大変な労力だった。直行便のない所も多く,半日から1日が移動時間でつぶれていた」(ビデオ会議システムの導入を担当したジョイフルの美藤克成・経営企画室長,写真2)。

 この状況を「なんとか改善できないものか」。同社の穴見陽一社長がこう考え,2006年5月ころからシステム導入のプロジェクトが動き出した。実は同社は,以前,電話の音声会議システムを導入したことがある。ただし音声だけの会議は使い勝手が悪く,次第に使われなくなった。そこで今回は当初からビデオ会議システムを検討した。

 機器の選定やネットワークの増強計画などを練り,2006年8月にはシステムの設計が完了。8~9月の2カ月間で導入作業を進め,10月には利用を開始した。

 実際使ってみると「画像が思ったよりもきれいで,相手の表情も良くわかる」(美藤室長)。コスト削減効果も大きく,出張費は年間で5分の1に圧縮できる見込みである。ビデオ会議システムの導入には「億に近い数千万円」(美藤室長)の初期投資が必要だったが,これは1年強で回収できるという。

 エリア・マネージャーの会議以外にも,システムを研修や朝礼などに活用することで,社内の意思疎通や情報伝達が効率的になった。例えば,それまでは本社の会議に参加したエリア・マネージャーが,AM事務所に戻って会議の内容を他のスタッフに伝達していた。これが現在は多くのスタッフがビデオ会議に参加するようになったため,後日伝達する手間が省けた。

 また,相手の顔が見え,雰囲気が伝わる効果も大きい。美藤室長は「毎週,ビデオ会議を使って社長が訓話することで社内に緊張感が生まれたのも事実。やはり大分という地方都市から全国を管理するには電話のようなシステムだけでは難しい」と話す。雰囲気を伝えるためにも動画である点が良かった。ビデオ会議システムは稼働率が高く,ほぼ毎日何らかの用途で使われているという。

高画質で同時22拠点のビデオ会議

 ジョイフルでは当初,高画質での会議を実施するには1.2Mビット/秒のビットレートが必要だと試算していた。その上で本社と各AM事務所の計22拠点を同時接続する会議を実現したかった。そうなると,拠点当たり少なくとも1.2M×21=約26Mビット/秒程度の帯域が必要となる。このためビデオ会議の導入に当たり,部分的にではあるが帯域増強が必須だと考えた。

 AM事務所の多くはWAN網へのアクセス回線として,フレッツ・オフィスワイドのBフレッツ ベーシックタイプを導入していた。ただし,5カ所の事務所は最大40Mビット/秒のADSLや24Mビット/秒のCATVだった。そこで,広島と近畿南の事務所はBフレッツに変更。Bフレッツがまだ利用できない場所にある佐賀と熊本南,中部西の事務所はBフレッツを使えるようになるまでの暫定措置として,最大47Mビット/秒のADSLサービスに切り替えた。

 本社内のLANも強化した。ビデオ会議用に1Gビット/秒のLANを増設し,ルーターを新機種(ヤマハの「RTX3000」)に取り替えた。

 機器を導入し,実際に使い出してみると,ビットレートが384kビット/秒程度の映像でも,画質はきれいで,十分に実用に耐えることが分かった。コーデック機器は最大2Mビット/秒のビットレートに対応しているが,現在は384kビット/秒の設定でビデオ会議を実施しているという。

店舗にBフレッツ,資料を動画化へ

 ジョイフルでは今後,708ある全店舗へのBフレッツ導入を計画中だ。現在店舗には,POS(point of sales)データ送信用にISDNを導入している。これを,早ければ2008年3月には一部のBフレッツ未対応地域を除いて,全店舗でBフレッツに切り替える。

 全店舗のBフレッツ化が完成すれば,「高精細の映像で動画のマニュアルを作り,それを配信したい」(美藤室長)。これまで紙だった調理指導などのマニュアルや資料を動画化し,店舗のスタッフが見たいときに見られるようにすることで,より迅速な店舗運営を目指すとする。

 そのためには本社ネットワークのさらなる増強が必要だという。現在,本社は,NTTコミュニケーションズが提供する広域イーサネット・サービスと100Mビット/秒の帯域を持つアクセス回線で接続している。将来はこれを1Gビット/秒に高速化する考えである。