森ビル・インベストメントマネジメントは,経営データの分析機能を持つ管理会計システムを構築し,不動産投資信託の資産運用・分析業務を刷新した。正確かつ迅速な物件の業績把握と利益予想を可能にするほか,属人化していた業務を見直して作業負荷を軽減する狙い。新システムは2007年3月から一部利用を開始しており,2007年8月に全面稼働する。
同社が手掛ける不動産投資信託の資産運用業務では,賃貸収入や維持管理コスト,物件の稼働状況などを基に,収支計画や利益予想,運用結果の分析などを行う。従来,「Microsoft Excel」を使ってデータを管理していたが,利益予想や検証作業が複雑で難しいほか,作業ノウハウが属人化しているという課題があった。
こうした課題を解決するため同社は,新たな管理会計システムの構築を決め,経営データの分析のための多次元データベース・システムを導入した。多次元データベースには,日本オラクルインフォメーションシステムズの「Hyperion System 9 BI+ Essbase Analytics」を採用した。
導入プロジェクトは,2007年1月に基本設計を開始。約2カ月の短期開発で分析システムの第1弾が稼働した。新システムでは,様々な切り口での高速なデータ分析を実現するため,(1)物件別の稼働率やテナント個々の賃貸条件などを管理するための「RR(レントロール)キューブ」,(2)各物件の収支管理,計画実績対比や利益予測を行うための「FS(フィジビリティ・スタディ)キューブ」──の2種類のキューブを作成した。
RRキューブの作成により,単に物件別の稼働率を見るだけでなく,オフィス,住居,店舗などの物件用途別に稼働率を分析できるなど,従来よりも詳細な分析業務が容易にできるようになった。また,FSキューブによって,これまで1日程度の時間を要していた経営層向けの情報作成が1時間程度まで短縮できる見込みだ。FSキューブは2007年8月の本稼働を予定している。