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社内の「MD改善賞」を受賞した三重工場の改善チーム「ラオウ」
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 タイヤ大手の横浜ゴムは、2006年度から開始している現場の無駄取り(同社は『MD=ムダドリ』と呼ぶ)活動に対して、結果を出した社員やチームを表彰する制度を新たに整えた。

 同社には過去にも同様の表彰制度があったが、これまでは改善提案を出せば賞金がもらえる仕組みになっていたため、必ずしも「効果」にまでつながらない提案も多く、1998年に表彰制度を停止していた経緯がある。

 2006年度から改めてトップダウンで一斉に開始したMD活動では、具体的な効果を上げる事例が多数集まってきたことから、2006年10月に表彰制度を再開。半期に一度、MDのテーマを現場の改善チームが「登録・実行」して、半年後に改善効果を「金額計算」して評価するようにした。その効果の度合いに応じて、社長表彰と賞金の授与を実施する。

 この春表彰されたMD活動の好例が三重工場にある。タイヤのパーツを集めて1本のタイヤに組み立てる「成形工程」で働く4人のメンバーが結成した改善チーム「ラオウ」は、年間6億円以上という大きな改善効果を見込めるMD活動が認められ、「MD改善賞」を受賞した。

 1つの成形機で1日に70件も同じミスが起きていたのをゼロにできるように、成形機のヘッド部分を改良。MD活動の開始から3カ月後には目標のミスゼロを達成して、その後はゼロを持続している。作業の特性上、ミスが起きると同じ作業を最初からやり直さなければならず、これまでは作業時間のロスや無駄な部品の廃棄が頻発していた。これではコスト的にも安全面でも問題が多い。

 そのため、ミスが起きる「真因」を分析して、最終的にヘッドの先端部分を全面改良。工場に20台ある成形機すべてに同様の改良を加えた結果、年間6億円もの効果が見込めることになった。


女性社員によって構成される「MD発見隊」。写真は三重工場にいるMD発見隊のメンバー
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 もちろん、効果金額の大小だけが大切なのではない。MD活動の現場への定着こそが、横浜ゴムの真の狙いだ。同じ三重工場では、女性社員が事務経費の削減を目的としたMD活動を展開しており、こちらは携帯電話の使用状況の見直しや事務用品の部門間での融通と一括購買などで、2006年度下期だけで120万円以上の効果を上げた。MD活動をしていなければ120万円の経費が社外に流れていたわけで、こうした無駄な経費の抑制の積み上げが横浜ゴムの好業績を下支えしている。

 横浜ゴムは女性の視点で会社の無駄を無くそうと、2006年2月から39人の「MD発見隊」を組織している。この夏には2期生の女性社員がさらに30~40人、MD発見隊に加わる。三重工場で事務経費のMD活動を推進してきたのもMD発見隊のメンバーの1人(写真の女性)である。

 横浜ゴムは東京本社や三重工場のほか、茨城工場や神奈川県の平塚工場などに拠点が分散しているため、各拠点ごとにMD発見隊の女性社員を1人以上任命している。勤務地は遠く離れていても、彼女たちを同じMD発見隊として組織することで女性同士の横のつながりや仲間意識を持ってもらい、MD活動に全社的な広がりと参加意識を持たせている。社員であっても、これまで全く面識がなかった別拠点の女性社員同士が同じMD発見隊のメンバーとして改善の知恵を出し合い、情報交換するようになった効果が何より大きいという。