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 ブラザー工業では、ERP(統合基幹業務)システムを活用した、SCM(サプライチェーン・マネジメント)改革の成果が出始めている。

 同社は、世界各地の主要な販売・製造拠点に、2003年までにSAP社のERPパッケージソフト「R/3」の導入を進めてきた。世界各地の需要や在庫量をシステム上で把握できるとともに、製造拠点間で同一方面へ出荷する製品をまとめてコンテナに混載することが可能になった。

 複合機やプリンターを担当するブラザー工業のプリンティング・アンド・ソリューション・カンパニーは、マレーシアや中国などアジア5工場で製造し、世界各地へ出荷している。これらの拠点にもR/3を導入しており、世界各地にある販売拠点からの注文情報が一目で分かるようになっている。

 工場から世界の販売拠点へは、船便で送っている。コンテナ1台は20フィートあり、薄型のプリンターであれば約1000台分、小型の複合機であれば約700台積み込める。この際、需要の多い販売拠点へは出荷頻度を上げられるものの、需要の少ない拠点には満載になるだけの注文を待ってから出荷していた。このため、月に1回しか出荷していない地域もあったという。

 その一例が、オーストリア向けである。一拠点ではコンテナが半分にしかならないため出荷頻度が少なかった。そこで同社は、R/3を活用して、近隣の製造拠点で同一方面に出荷する荷物を探し、混載して送ることにした。これにより、オーストリア向けは以前の月1回の出荷が同2回になった。

 例えば、製造拠点のある中国の深センと珠海の拠点は近い。着荷する拠点のコードを入力すると同一方面への出荷伝票が一覧で表示される。これを見た担当者同士が相談し、混載の計画を立てる。経営企画部情報企画グループの吉田鋭一グループ・マネジャーは、「情報共有できるようになったことで担当者同士で相談できる環境ができた」と話す。

 混載して出荷頻度を増やすことで、販売拠点が注文してから納品するまでのリードタイムは、全社的に平均で約15%短縮できるようになった。

 販売拠点にとっても効果は大きい。製造拠点から届く回数が増えれば、1回当たりに需要予測する期間も短くなり精度も向上する。販売拠点が持つ安全在庫も少なく済み、在庫削減にもつながっている。フランスやオランダなど3カ国の販売拠点では2003年に倉庫を統合したが、2007年にはスウェーデンなど北欧の4カ国の倉庫も統合した。

 システムを活用して拠点間の混載を促進できるように、出荷担当者が意見交換できる場を定期的に開催している。マレーシアや中国にある製造拠点の担当者が集まって、改善活動を発表する場を用意している。この発表会のなかで、出荷を効率的に行う方法について議論する場も設けている。最近では、3月に中国の珠海にある製造拠点で開いた。こうした場と情報システムを活用することで、リードタイムを一層短縮し、在庫削減にもつなげていきたい考えだ。