惣菜製造業のフジッコは6月より,主力工場である鳴尾生産事業部,西宮工場,和田山工場において,新生産管理システムを稼働させた。SAPジャパンのERPパッケージ「SAP ERP」をベースに開発したもの。今後は他の5工場への導入を進めるほか,購買や販売,物流など他の分野でのシステム刷新も図る。
新生産管理システムを導入した狙いは大きく三つ。(1)生産管理業務の効率化とデータ精度の向上,(2)食の安心/安全を実現するトレーサビリティ基盤の強化,(3)現場情報の「見える化」による意思決定の迅速化――である。
(1)では,現場実績データの一元化や自動入力化により,生産管理業務の効率化とデータ精度を向上させる。これまで独立していた生産計画,製造実績管理,製造現場の各システムを統合。これにより,生産計画立案や製造指示,レシピ(原材料の分量や製造方法)の管理/参照――などの情報の連携を図る。またタッチパネルを用いた電子指図システムを新たに導入。生産実績はこれまで担当者が書いたメモを再びシステムに入力していたが,自動的に転送する仕組みに変えた。
(2)では,トレーサビリティの精度を高め,「食の安心/安全」を実現する。同社が提唱する「フジッコあんしんシステム」という考え方に基づくもの。原材料や配合などの製品情報と,入庫伝票や製造指図などの情報をひも付け,製品情報の詳細なトレーサビリティを可能とした。また同社の商品を購入した消費者は,Webサイト上でロット番号を入力すれば,原材料や配合などを閲覧できる。
(3)では,現場の「見える化」により,受注変動対応や原価低減に向けた意思決定を迅速化させる。生産にかかわる上流から下流までの情報を一元管理し,かつ管理サイクルを短縮することで,生産現場における歩留まりや受け払い実績,在庫などの情報をリアルタイムに把握できるようにした。これにより,生産現場では原価差異分析による現場改善を,経営レベルでは受注変動や原価削減に向けた意思決定の迅速化を進めることができるという。
システム開発は,NECとアビーム コンサルティングが手掛けた。