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 サントリーは,店頭支援スタッフの勤務状況を把握するツールとして,2007年5月に携帯電話を端末とした新システムを全面的に導入開始した。端末や通信コストの削減,使い勝手の向上につなげている。

 消費者の多様なニーズに応える商品展開によって,新商品を続々と市場へ投入する飲料業界。小売店や量販店などの店頭では,より広い陳列スペースを獲得し,魅力的な売り場づくりを実現するために飲料メーカー各社がしのぎを削っている。

 サントリーで,小売店や量販店に向けてこのような自社製品の販売提案や店頭陳列管理などを行うのは,フルタイム勤務のマーケティングアドバイザーや,パートタイム勤務のマーケティングパートナーと呼ばれる店頭支援スタッフである。サントリーが100%出資する子会社のサンリーブが,店頭販促業務を請け負う専業会社として店頭施策を代行している。同社は現在,東京に所在する本社のほかに,大都市を中心として全国19拠点に地域事務所を構え,その中で約1400名の店頭支援スタッフが活動している。

 店頭支援スタッフは,自宅から自家用車を使って担当の店舗へ直行する。店舗で売り場チェックや商品陳列,時には陳列スペースの交渉などを行う。一人の店頭支援スタッフは,1日に3,4店舗ほどの担当店舗を巡回。決められた予定に従って店舗を回り,業務が完了すると,そのまま自宅へ直帰する勤務スタイルである。店頭支援スタッフが所属する事務所へ出勤するのはミーティングに参加する週に1度だけで,それ以外は直行直帰の勤務体制が原則だ。

 一方で各拠点の内務担当者は,所属する80~100名ほどの店頭支援スタッフを管理しなければならない。遠隔から店舗支援スタッフらの勤務状況を管理することに加えて,店頭支援スタッフの日々の出勤と退勤時刻を正確に把握する必要がある。出先からた勤怠状況を登録し,データをリアルタイムで管理できるツールとして,携帯電話を使うことにしたのだ。

端末をPDAから携帯電話に全面入れ替え

 サンリーブでは,外勤業務を主とする特殊な勤務体制のスタッフを管理するツールとして,これまでPDA(携帯情報端末)を活用してきた。各店頭支援スタッフらが1台ずつシャープ製のPDA「ザウルス」を持ち歩き,巡回店舗先からインターネット接続でWebサイトにアクセスして出勤や退勤時刻を入力。内務担当者は管理画面でリアルタイムに出勤状況を把握していた。

 また,店頭支援スタッフは残業や休暇などもWebサイト上で申請し,各拠点の承認担当者は管理画面から申請を承認する。週次や月次で取りまとめた勤怠管理データは,給与や残業代を計算する際に照らし合わせ,データ入力の誤りや不正な申請を正すための参考資料とする。あるいは,それぞれの店頭支援スタッフの勤務状況を比較するなどして,業務指導用の参考資料としても役立てる。なおPDAを利用した業務システムでは,勤怠管理に加えて活動日報を入力する機能も備えていて,業務内容と併せて出退勤状況を管理できた。

 勤怠管理システムの端末をPDAから携帯電話へと全面的に移行を始めたのは,2007年5月のことである。4月からスタッフへの研修などを開始し,6月末には全拠点で携帯電話を利用することになった。携帯電話のWebブラウザから勤怠管理システムにアクセスし,出退勤時刻の入力や自動車の走行メーターの数字などを入力するほか,残業や休暇の申請も行う(図1)。

図1●サントリーが導入した勤怠管理システム
図1●サントリーが導入した勤怠管理システム
サンリーブの店頭支援スタッフは,携帯電話を端末として勤怠状況をシステムに登録・参照できる。

 PDAから携帯電話へと端末の切り替えを行った理由について,サントリーグループの人事給与に関わるシステム導入を担当する,サントリー グループ業務推進部 人事給与センターの本吉紳一郎課長は,「カメラやWeb,アプリ機能が搭載されるなど,携帯電話の機能が進化して,業務端末として十分に使えるレベルに達した」ことを挙げる。活動日報とともに勤怠情報について,携帯電話をデータ入力ツールとするシステムに改編した。

写真1●サントリー グループ業務推進部の本吉紳一郎課長
写真1●サントリー グループ業務推進部の本吉紳一郎課長
 PDAを使ったシステムでは,インターネット通信用にPHS通信カードを使っていた。一部で通話用のPHSまたは携帯電話を接続するケースもあったが,PHS通信カードを使う場合には,通話用の携帯電話も貸与しなければならなかった。勤怠管理システムの端末を携帯電話に置き換えることで,貸与する端末を「PDA+PHS通信カード+通話用の携帯電話」から,「携帯電話1台」にできる。端末の導入コストや通信コストの削減が見込めると踏んだわけだ。また,PHSを使った通信では郊外の店舗などで電波が圏外になって通信できないことも多く,端末を携帯電話にすることで「圏外」を減らせる効果も期待できる。

 勤怠管理システムの中核を成しているのは,ワークスアプリケーションズが提供するERPパッケージ「COMPANY 就労・プロジェクト管理」である。サントリーが運用する人事給与システムの一つとして,大阪にあるサントリーのデータセンターに設置されたサーバーで集中管理している。

 「COMPANY 就労・プロジェクト管理」を使ったシステムの携帯電話対応については,ワークスアプリケーションズとともにサントリーグループのSIベンダーであるサンモアテックが共同開発した。開発したシステムは,携帯電話事業者や機種に依存せず,インターネット接続が可能な機種であれば利用できる。現在はスタッフの大多数にKDDIの端末を貸与しているが,一部のスタッフは継続してNTTドコモの端末を利用しており,事業者や機種に依存しないシステムの効果が現れている。