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 大阪大学医学部附属病院手術部(中田精三部長)は2007年6月中にも、無線LANタグを医療器具に取り付け、位置を自動検知するシステムを導入する。無線LANタグは100個使う。

 無線LANタグを張り付ける機器は、注射器や点滴バッグに薬剤を注入する輸液ポンプ(30~40台)、電気メス(15~20台)、ヘッドランプなど。それぞれ標準品と特殊用途のものがあるが、無線LANタグのIDを割り振って、何がどこにあるかが分かるようにする。

 医療器具は17の手術室で共用しており、「必要なときに所在が分からなくなることが多かった」(導入を主導した高階雅紀 手術部助教)。マッチ箱大の無線LANタグを取り付け、必要な機器をすぐに探し出せるようにする。

 システムには丸紅ソリューションが販売する米エカハウの「エカハウ・ポジショニング・エンジン」を利用。無線LANタグや無線LAN対応のパソコンが受信した電波の強さを基に位置を特定する。複数のアクセス・ポイントからの電波強度を調べ、3点計測に似た計算方法で位置を割り出す。

 17の手術室と廊下、機器置き場をカバーするため、25カ所のアクセス・ポイント(市販品)を設置した。現在の位置検知の誤差は最大10m程度だが、稼働までに3~4m程度に高めるという。

 6月時点では、特定の区画に位置する手術室でだけ無線LANを採用するが、今後は病院全体で共用する医療機器へ適用することも検討している。設置場所の管理だけでなく、各機器の稼働率を調べ、必要な機器数を把握。これにより1台1000万円を超えるような機器の数を減らす。