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保安検査場でICチップが入った携帯電話や2次元コードをかざすと搭乗手続きが完了する
保安検査場でICチップが入った携帯電話や2次元コードをかざすと搭乗手続きが完了する
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 全日空は2007年内に磁気式の航空券を廃止する。磁気ストライプがついた航空券を、2次元コードやICカードなどに情報を格納する方式に切り替える。新方式への移行に伴い、年内中に同社が乗り入れる国内線の全50空港に2次元コードなどが読み取れる端末を順次設置する。搭乗手続きにかかる設備の削減と乗客の利便性向上が狙い。同社によると磁気式航空券の廃止は、世界初の試みという。

 2次元コードやICカードの方式は2006年9月から開始していたが、対象空港が24と少ないうえに、荷物を預けない乗客しか利用できなかった。利用率も平均10%前後と低迷していた。磁気式の航空券廃止に伴い、荷物を預ける乗客にも対応できるよう手荷物カウンターにも読み取り端末を設置する。これにより、全搭乗者の8割が新方式を利用できる環境を整える。

 全日空にとってのメリットは、搭乗手続きに必要な設備の削減である。

 これまで「航空券などを持参し搭乗手続きのために自動チェックイン機や有人カウンターに出向く→保安検査場→搭乗」という流れだった。新方式では、「保安検査場にある端末に2次元コードなどをかざして搭乗手続き→搭乗」となる。つまり搭乗手続きと保安検査が同じ場所でできるようになる。

 大半の乗客が保安検査場の読み取り機にかざすだけで搭乗手続きが完了するため、現在刷新を進めている自動チェックイン機の設置台数を約15%削減できる見込みである。将来的には有人カウンターも削減し、搭乗手続きにかかわる費用のさらなる削減を目指す。オペレーション統括本部の山本正人主席部員は、「搭乗手続きの担当者を出発ロビーでの乗客案内係にするなど、サービス向上につなげたい」と話す。

 乗客のメリットの1つとして挙げられるのは、航空券の再発行が容易になることである。従来は、磁気式の航空券にすべての情報が入っていた。航空券を紛失したり忘れたりすると、再度航空券を購入しなければ搭乗できなかった。新方式では、航空券情報は全日空のデータベースで管理するため、乗客が持っているのは控えでしかない。そのため、2次元コードを再発行するだけでよく、無料で対応できるようになった。

 航空券情報を全日空側で一元管理することによる活用法として検討しているのが、天候不良などによる欠航の際の対応である。

 従来は、払い戻しや搭乗便の変更といった対応のために、航空券を照合する必要があった。このためカウンターでは、処理を待つ乗客の長蛇の列が出来てしまっていた。新方式では、払い戻しを希望する乗客にはウェブサイトでも対応できるようにしたり、便の振り替えを望む乗客には新たに発券することなくデータベース上の情報を書き換えるだけで搭乗できるようしたりできる。山本主席部員は、「乗客を待たせてしまう時間を極力減らせるインフラを構築したことで利便性を向上させたい」と意気込む。