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 ソニーは今年7月、グループ企業30社、3万5000人の社員に関する人事関連情報の管理システム「産業保険情報システム」を本格稼働した。開発ツールに、ウルグアイのアルテッチ製の「GeneXus」を利用したシステムで、同ツールを販売するジェネクサス・ジャパンが10月15日に開催したセミナー「GeneXus Day 2007 Autumn」の講演で明らかになった。このシステムは、長時間勤務情報、社員情報、健康に関する上長などとの面談状況といった情報を管理するためのもの。グループの産業医や看護師など約60人が主なユーザーになる。国内のユーザー企業がGeneXusを使用した開発としては、最大規模になる。

 開発作業は、ソニー・グループで人事関連業務を受け持つ、ソニー・ヒューマンキャピタル(SHC)の情報システム部が中心となって進めた。同部はSHC社内の情報システムのほか、ソニー・グループの人事関連システムの構築・運用を担当している。

 同部がGeneXusを選んだ理由は、新規開発の生産性が上がること。同社ではこれまでも、人事関連のアンケートなど小規模のシステムを作るためにGeneXusを利用していた。SHCの小森谷静男システム企画グループマネージャーは「外部に発注すると300万円ほどかかるシステムをはじめ 15件ほど開発し、その有効性を確認していた」という。

 今回のシステム開発を始めたのは06年10月。プロトタイプを3カ月かけて開発して機能を検証した。本番システムの設計・開発作業は07年1月から6月にかけて実施。7月に完成したあと、トラブル対処のために9月までプロジェクト体制を維持していた。

 開発工数は60人月程度。同社システム部員だけでなく、ソフト開発のベネファキスに開発を依頼した。投入したSEは合計で8人。「念のため相見積もりをとったが、GeneXusを使わない企業は100人月以上で提案してきた」(小森谷マネージャー)。GeneXusで生成したソースコード量はC#で約100万行、開発した画面数は125。OSはWindows 2003 Server、データベース・ソフトはSQL Serverを使用した。

 小森谷マネージャーは「2~3人で開発する場合は、感覚的には従来の2倍から10倍、生産性が高まっている」と話す。その一方で、主にサポート面と技術面にまだ改善の余地があると指摘する。「日本語の分かるウルグアイ本社のエンジニアをもっと増やしてもらい、できれば日本に常駐してもらいたい」(同)。技術面でも開発時の排他制御機能が不十分であること、全データ項目を一意にしなければならないなど、未成熟な点があるという。

 GeneXusは業務システムに特化した開発ツール。アプリケーションで使うデータ項目の属性や項目同士の関係を定義することで、データベースのテーブルを自動的に設計し、データベースに格納したデータの表示や追加、更新、削除、検索を実行するアプリケーションを自動生成する。国内では、04年にジェネクサス・ジャパンが販売を開始した。

 定義したデータ項目は、プログラミング言語やデータベース・ソフトに依存しない。そのため、選択肢はGeneXusが対応している言語とデータベース・ソフトに限られるものの、将来的にそれらを変更しても同じシステムを維持できる。

■変更履歴
以下の4点について、追記・修正いたしました。 ・本文1段目に、ジェネクサス・ジャパンが主催するセミナーの取材により、本事例が明らかになったことを明記しました。 ・本文3段目にGeneXusを選んだ理由について、「新規開発と保守の生産性が上がること」とありましたが、今回の案件に限っていえば開発生産性の向上を狙ったものであることから、「新規開発の生産性が上がること」に変更しました。 ・稼働開始時期は7月の誤り、本文4段目にあった「動作確認や試験運用などを済ませて、このたび本格稼働した」は、「トラブル対処のために9月までプロジェクト体制を維持していた」の誤りです。お詫びして訂正いたします。 ・本文6段目に「2~3人で開発する場合は」を追記しました。 [2007/10/18 18:28]