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即時にオーソリゼーションが完了する仕組みを構築

 決済・るるるとは,決済情報を格納したQRコードを保険取扱者の携帯電話上に表示し,顧客がこれを自身の携帯電話のバーコードリーダー機能で読み取って料金の支払い手続きを行う料金回収システム。販売員と顧客がそれぞれ所有する2台の携帯電話を利用するのが特徴である。

 ケータイ・クレカ決済では,保険会社の業務に対応させるために「厳密に言えば,即時決済ではなく,即時オーソリゼーションを実現した」(菊地氏)。即時オーソリゼーションとは,契約時にケータイ・クレカ決済を使ってクレジットカード会社の与信だけを行うこと。支払い意思と与信枠の確保が確認できた時点で,保険効力の開始だけを確定する。これは,例えば生命保険には,医師による診断書が必要となる商品があるために必要な仕組みだった(図1)。

図1●「ケータイ・クレカ決済」の決済フロー
図1●「ケータイ・クレカ決済」の決済フロー
まず保険取扱者の携帯電話にQRコードを表示。これを顧客の携帯電話で読み取り,決済サイトにアクセスさせる。顧客は自分の携帯電話にクレジットカード番号などを入力するだけなので,セキュリティ面での不安を低減できる。
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 審査の結果次第では加入を受け付けられない場合もあり,即時でクレジットカード決済をしてしまうと払い戻しなどの手続きが煩雑になる。このため,ケータイ・クレカ決済では,その場では与信確認だけを行い,審査の結果を受けた後にあんしん生命からクレジットカード会社に対して正式に請求手続きを行う仕組みを採用した。

 また,10月19日にケータイ・クレカ決済を開始すると同時に,取扱者の業務支援を行う携帯電話向けポータルサイト「取扱者ケータイサポート」も開設した。ケータイ・クレカ決済機能もこのポータルの1コンテンツとして提供される。このほか,主要商品の保険料を試算する機能や,健康診断の必要検査項目を検索できる機能,同社の連絡先アドレス一覧といった業務支援機能を携帯電話から利用できるようにした。

取扱者と顧客の2台の携帯電話を活用

 ケータイ・クレカ決済の利用時の流れを見てみよう。まず保険取扱者は,自身の携帯電話からID・パスワードで認証して「ケータイ・クレカ決済専用サイト」へログインする。次に,決済したい契約の証券番号と保険料を入力する(写真3)。この際に決済する契約は5件まで入力できるようになっている。入力した契約情報を日本公共料金サービスのサーバーに送信すると,QRコードが自動発行され,取扱者の携帯電話画面に表示される(写真4)。QRコードには,契約情報に基づいて決済手続きを進めるための携帯サイトのURLが格納してある。取扱者の作業はここまでで終了する。

写真3●契約情報を入力して送信   写真4●QRコードが画面に表示される
写真3●契約情報を入力して送信   写真4●QRコードが画面に表示される

 今度は顧客が,自身のカメラ付き携帯電話を使って決済の手続きを行う。まず,取扱者の携帯電話画面に表示されているQRコードを,携帯電話のバーコードリーダー機能を使って読み取る。そのURLにアクセスすると顧客の携帯電話に契約内容が表示され(写真5),確認後に決済画面に移る。そこにクレジットカード情報を入力して送信すると(写真6),日本公共料金サービスのサーバーを介してオーソリゼーションが行われる仕組みである。最後にオーソリゼーションの結果が顧客の携帯電話に返信され,手続きが完了(写真7)。携帯電話の標準ブラウザ上で手続きを行うため,アプリケーションのダウンロードなどを必要とせず,バーコードリーダー機能を搭載する携帯電話であれば機種に依存することなく利用できる。

写真5●顧客がQRコードを読み取ると契約情報を表示   写真6●クレジットカード番号などを顧客が入力   写真7●オーソリゼーションが完了すると通知がある
写真5●顧客がQRコードを読み取ると契約情報を表示   写真6●クレジットカード番号などを顧客が入力   写真7●オーソリゼーションが完了すると通知がある

 ケータイ・クレカ決済では,顧客の携帯電話にカード情報を入力するため,高いセキュリティを確保できる。身近な携帯電話を使うことから,導入しやすいメリットもある。新規契約時にケータイ・クレカ決済を行えば,初回請求だけでなく2回目以降のクレジットカード払いに関しても同時に手続きが完了するため,顧客が書類に記入する手間がなく利便性が高い。

 「ハガキの場合,郵送代や印刷代のほか,作業負荷も大きかった。ケータイ・クレカ決済ならば申し込み時にカード情報の入力が済んでいるため,コストと手間を大幅に削減できると見込んでいる」(菊地氏)。また,2回目以降の請求についてもクレジットカード払いが確定することから,従来の銀行口座振替,コンビニエンスストアなどの窓口支払いによる残高不足や入金忘れなどのリスクを回避でき,督促の手間も軽減できるという。

ケータイ・クレカ決済を1年で3割に

菊地和貴課長代理
 しかし,一方でケータイ・クレカ決済のデメリットとして挙げられるのが,パケット料金の問題である。顧客の携帯電話で決済手続きを行う際に,約8円~16円のパケット通信料がかかり,この料金は顧客に負担してもらわなければならない。

 これについては,「押印などを伴う面倒な書類作成の手間をお客さまのコストと換算すれば,10数円のパケット通信料は負担していただくコストとして常識の範囲内に収まっていると判断した」(菊地氏)と説明する。また,このほかに顧客が携帯電話のバーコードリーダー機能を使いこなせることが前提となることや,携帯電話が業務支援ツールとして認められにくく,仕事をしているように見てもらえない点はデメリットとしてあるという。

 とはいえ,いずれのデメリットも容認できる範囲と判断した。前述したような顧客とあんしん生命の双方への様々な付加価値やコスト削減効果というメリットの方が圧倒的に大きい。同社は,今後ケータイ・クレカ決済を積極的に推進し,「サービス開始後およそ1年で新規申し込み時のケータイ・クレカ決済の利用を3割の水準まで引き上げたい」(菊地氏)との目標を掲げる。まずは社内や取扱者への浸透を図り,顧客に対する一層の認知の向上を進める考えである。

中村実里=ライター