PR

 東京電機大学は2006年4月,これまで運用してきたビデオ会議システムを刷新した(図1)。神田,鳩山(埼玉県),千葉ニュータウン(NT),小金井の各キャンパスを結ぶ。

図1●東京電機大学のビデオ会議用ネットワーク
図1●東京電機大学のビデオ会議用ネットワーク
神田キャンパス経由でインターネットなどの外部ネットワークに接続する。
[画像のクリックで拡大表示]

 東京電機大は90年代中ころからISDNを使って,10年以上ビデオ会議システムを運用し続けてきた。「ビデオ会議は学内ですっかり“市民権”を得ている」(東京電機大学 総合メディアセンター 企画・推進担当の佐藤龍課長,写真1)。

写真1●ビデオ会議の導入を担当する東京電機大学・総合メディアセンター 企画・推進担当の佐藤龍課長   写真1●ビデオ会議の導入を担当する東京電機大学・総合メディアセンター 企画・推進担当の佐藤龍課長

据え置き型とパソコン型の2つを導入

 今回の刷新は,東京電機大が「e-Campus」と呼ぶ構想の一環である。より充実したビデオ会議システムによって,会議やゼミなどでのコミュニケーションを円滑化したり,遠隔講義の実施や講義のビデオ・アーカイブなどを目指すものだ。また,ISDNのビデオ会議機器が入手困難になってきたことも,刷新の理由である。

 東京電機大のビデオ会議システムは2種類に大別できる。一つは,会議室や講義室に置く「据え置き型」のシステム。同システムは通常の会議や教授会,講義の配信などに利用する。

 もう一つは,今回新たに導入したUSBカメラとパソコンを組み合わせて使う「パソコン型」のシステムだ。こちらは外出先や自宅,あるいはキャンパス内の様々な場所からビデオ会議に参加できるように用意したもの。「学内にビデオ会議を使う文化が根付いているので,学長などが海外出張しているときでもビデオ会議に参加したい,といったニーズが生まれている」(佐藤課長)という。

 据え置き型はビデオカメラやコーデックを備える専用ハードウエアによるもので,ソニー製が31台(写真2),ノルウェーのタンバーグ製が13台,米ポリコム製が1台の計45台で構成する。いずれも画質は従来のSD(スタンダード・ディフィニション)タイプで,使用帯域は1画面当たり最大2M~4Mビット/秒。また,一部の機種は,3拠点以上の同時会議を実施するためのMCU(多地点接続装置)も内蔵する。

写真2●据え置き型のビデオ会議システム
写真2●据え置き型のビデオ会議システム
写真はソニーの製品。

 パソコン型には,沖電気工業が開発するビデオ会議ソフトウエア「Visual Nexus」を採用した(写真3)。現在,25クライアント・ライセンスを導入している。Visual Nexusの管理サーバーである「Meeting Server」は神田キャンパスに設置。1クライアント当たりの使用帯域は1Mビット/秒に設定した。

写真3●Visual Nexusの画面
写真3●Visual Nexusの画面
タンバーグのビデオ会議システムと接続したところ。

 据え置き型とVisual Nexusは,ビデオ会議の標準プロトコルである「H.323」で相互接続できる。例えば,Visual Nexusのクライアントが,MCUを持つ据え置き型の機器に接続することで,パソコンとソニーやタンバーグの機器間でのビデオ会議を実現する。

 パソコンで動くビデオ会議ソフトは無数にある。だが,H.323で据え置き型のシステムとつなげることができて,映像品質に優れ,ユーザー管理機能が充実している製品は限られるという。Visual Nexusはそのような条件を満たすシステムの一つだった。

古い機種との接続でトラブル

 複数ベンダーの機器で構成し,順調に稼働している同大のビデオ会議システムだが,当初はH.323の相互接続性に問題があった。「『H.323対応だからつながる』と皆さんおっしゃるが,『つながる』と『使える』は違う。きちんとテストして,『使える』ことを確認する必要があった」(佐藤課長)。

 具体的には,動画と音声という基本的な通信機能は問題なく動くが,各ベンダー独自の機能がオンになっていると,それが原因でトラブルが発生することがあったという。特に古い機種との接続では,ある設定をオンにしておくと,システムが暴走することもあった。東京電機大では,各ベンダーの担当者に来てもらい,機器のパラメータの設定を調整することで,それらの問題を解決した。

300Mのビデオ会議専用回線を用意

 東京電機大学では,ビデオ会議のためにWANも強化した。4カ所のキャンパスのネットワークはKDDIの広域イーサネット・サービス「KDDI Powered Ethernet」につながる。ここで特徴的なのは,各キャンパスにインターネット接続やメールといったデータ通信用のアクセス回線と,ビデオ会議専用のアクセス回線の計2本を引いている点。KDDI Powered Ethernetの網内も,VLAN技術でデータ通信用とビデオ会議用を別々に構築している。

 ビデオ会議用には200M~300Mビット/秒の高速回線を用意した。そのおかげで,現時点では帯域には十分な余裕があり,トラフィックの輻輳(ふくそう)による映像の遅延などは発生していない。

 ギガビット・イーサネットのLANもデータ通信用とビデオ会議用でセグメントを分けた。ビデオ会議用のWANにつながるLANは,会議室など限られた場所からしかつなげないようにした。据え置き型のビデオ会議システムは,それらのビデオ会議専用LANに接続している。

 一方,Visual NexusはVPN(仮想閉域網)経由で学内のWAN/LANに接続する。VPNゲートウエイは神田キャンパスに置かれており,ユーザーはこのゲートウエイに対してVPNを張って,その中でVisual Nexusを使う。VPNゲートウエイから学内へ流れるVisual Nexusのトラフィックは,ビデオ会議専用WAN/LANに流れるように設定した。

ここがポイント

目的:導入済みビデオ会議システムの刷新

機器:ソニーやノルウェーのタンバーグ,沖電気工業などの機器およびソフト

構築期間:2005年夏から8カ月

効果:会議の円滑化と時間の節約を実現

●大学プロフィール
キャンパス数: 4
在校生数: 1万242(5月現在)
教職員数: 361(5月現在)
コンピュータ台数: 約6200(ネットワーク接続,5月現在)

●ネットワーク・プロフィール
WANサービスは,KDDIの広域イーサネット・サービス「KDDI Powered Ethernet」を採用。アクセス回線はビデオ会議用にイーサネット専用線を導入。