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 230店舗を持つ書籍販売大手の文教堂が、各店で棚にどの書籍を何冊並べればよいかの判断を支援するシステム「理想在庫システム」を進化させている。

 同システムが最初に稼働したのは2004年末。当初の参照対象は数十の書籍ジャンルだけだったのが、現在は約1000ジャンルにまで拡大。店長は理想在庫システムを参照しながら、ほとんどのジャンルの書籍棚を構成できるようになった。

文教堂の店舗   文教堂の店舗

 理想在庫とは、特定ジャンルに詳しいスペシャリストの店員が、各ジャンルの棚の書籍の種類と数を考えて構成したひな形のことだ。各ジャンルで書籍をS、A、Bとランク付けしてあり、どのランクの商品までを何冊棚に並べるかを店長が判断する目安になる。店長は自店の棚の大きさや近隣にある競合書店との差異化を考えながら、ひな形を応用して実際の陳列を決める。

 また、理想在庫として必要な各書籍の在庫数と、自店の在庫数を自動的に比較して、足りない在庫を簡単に発注できるようになっている。

 最近は、棚の構成だけでなく、季節ごとに店舗が実施する書籍フェアに必要な本の理想在庫も確認できるようになった。理想在庫システムは、フェアを成功させた陳列を素早く他店に広げるナレッジ共有の仕組みとしても機能し始めている。

 文教堂が理想在庫システムを強化する背景には、書店の大型化と人手不足がある。文教堂に限らず、ここ数年、大手の書店はどこも店舗を大型化して集客する傾向が強まっている。

 その一方で人手不足や人件費の抑制の問題から、店員の数をあまり増やせない状況にあるのも事実だ。限られた店員の数で大型店舗の棚の在庫を管理していくには、システム支援が不可欠になってきたわけだ。

 「ランキングを追い掛けながら売り場を作り、ベストセラーの欠本をなくす努力はもちろん大事。だが一方で、棚に並べる書籍をいかに回転させていくかも、大型書店の大きな課題になってきている」(雨宮央・書店営業部次長)。

 特に専門書の領域は、「職人」と呼ばれる本のスペシャリストでないと棚の構成を考えられないが、すべての店舗がこうしたスペシャリストを抱えられるわけではない。そこで理想在庫システムで参照できる対象ジャンルを拡大する必要があった。

出版社との情報共有にも積極的

 リアルタイムでのベストセラーの把握と、理想在庫システムを駆使しながらの在庫回転率向上??この二本柱で文教堂は勝ち残りに挑んでいく。

 もともと文教堂はこれまでもIT活用に積極的に取り組んできた。1997年にはいち早くPOS(販売時点情報管理)システムを店舗に配備した。そして2004年からは、リアルタイムで全店の販売状況を把握できる環境を整えた。それが理想在庫システムの構築にもつながっている。

 さらに今ではリアルタイムの販売実績データを出版社などにインターネットで即座に提供するサービス「BIG-NET」も展開し、約80社と契約している。こうした販売実績データの提供を武器にして、出版社から在庫を優先的に回してもらったり、文教堂だけのテスト販売をもぎ取ったりもしている。

 全体として本の売り上げが話題のベストセラー書に集中する傾向は年々顕著になっているという。情報共有をテコに出版社との関係を強化することもますます重要になっている。