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エアーリンクの中野正治社長
エアーリンクの中野正治社長

 中堅旅行代理店のエアーリンク(東京・新宿区)は業界でも独特の存在感を示している。2006年6月に携帯電話向け情報サイト「モバゲータウン」を運営するディー・エヌ・エーの子会社となり、インターネット分野にも力を入れ始めているが、電話での顧客対応力が同社の最大の強みだ。コールセンターに関する調査やコンサルティングを手がけるHDI-ジャパン(川崎市)による問い合わせ窓口格付け調査で、2006年と2007年に2年連続で最高級の「三ツ星」を取得した。

 HDI-ジャパンの調査は、80人もの審査員が問い合わせ窓口に電話をして、その対応力をパフォーマンスとクオリティーに分け、それぞれ5項目で評価する。2006年と2007年に調査したパソコンメーカーや金融など数十社のうち、連続三ツ星は2社だけだった。社員数およそ100人のエアーリンクが、JTBや近畿日本ツーリストといった業界大手よりも高い評価を受ける顧客対応力とは何か。

 主に会社員向けの海外出張手配に強みを持つ同社は「手配の早さ」で知られている。電話口で待たせないうえ、「調べて折り返しかけ直します」という対応も極めて少ない。専任のオペレーターは置かず、電話に出た社員がチケットの手配まで責任を持って受け持つ。

 社員は一度対応した顧客をその後もずっと担当する制度を取っているため、必然的にその顧客の細かな要望が分かるようになり、「かゆいところに手が届く」サービスが実現する。ただし、このやり方では北米や欧州、アジアなど、あらゆる地域のチケットの手配を1人で受け持つため、地域ごとの事情を詳しく知る社員が育たないといった問題も生じる。

優れた営業担当者の“必勝パターン”を横展開

 エアーリンクでは、このデメリットを補おうと、1年間に最低でも2週間取得しなければならない長期休暇制度を導入している。社員自身が世界各地を実際に旅してみて、現地で得た情報をイントラネットに日記として投稿する。旅行は義務ではないが、実際には多くの社員がこの制度を利用して海外旅行に出かけている。毎年2月に全社員を数人のチームに分け、誰かが休むときは同じチームの社員が仕事を引き継ぐといった体制を整えている。

 また、営業ノウハウを共有するため、営業成績の良い社員へのインタビューをまとめた冊子を社員に配布している。優れた営業担当者が持つ“必勝パターン”を横展開するのが狙いだ。「一度担当した顧客はその社員が次回以降も担当するので、顧客の奪い合いは起こらない。部門ごとの業績を賞与に連動させているため、ノウハウを出し惜しみせず、教え合う風土も生まれる」と中野正治社長は話す。

 さらに、シミュレーションを重視した社員教育で顧客対応レベルに日々磨きをかけていることが、外部調査での高い評価につながっている。得意の電話対応力に頼る「待ち」の営業だけでなく、自ら企業を回る専任の営業担当チームを組織化するなど、今後は攻めの営業でも長年培った顧客への提案力を武器に市場を開拓していく考えだ。