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 日本興亜損害保険が2006年に開設した、元社員向けのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)サイト「日本興亜サポーターズ倶楽部」が、女性社員の活用や採用に効果を発揮している。

 このSNSは退職した社員だけが登録でき、社員番号と生年月日を組み合わせた認証コードでアクセスできる。通常のSNSのように日記やコミュニティなどの機能を使って交流を深めたり情報交換をしている。

 現在、登録者数はおよそ800人で、そのほとんどが女性だ。2006年2月の開設時に元社員の約2000人にサイト開設の告知を郵送。その後は社員が退職手続きをする際にアクセス方法を教えて地道に登録者を増やしてきた。

日本興亜損保の元社員向けSNS『日本興亜サポーターズ倶楽部』の画面
日本興亜損保の元社員向けSNS『日本興亜サポーターズ倶楽部』の画面
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 このSNSを運用する直接的な狙いは、出産や育児が一段落した、もう一度働きたいという元社員に向けて求人情報を発信することだ。人事部は各地の営業拠点から寄せられる求人情報をトップページに掲示する。元社員なら研修のコストや手間が省けて、即戦力として期待できる。また、求人広告にかかる費用も削減できる。

 これまでにSNSを通じて2年間で合計14人を採用した。内訳は3人が正社員、1人が派遣社員、10人が短期間のアルバイトである。

 元社員からの採用数はさほどではないようにも見えるが、同社がこのSNSでに最も狙ったのは、実は産休や育児休暇制度の活性化だった。“女性が働きやすい会社へ変わる”という本気度を社内に示し、女性社員の従業員満足度(ES)を高めるダイバーシティー推進の狙いも含んでいる。

サポーターズ倶楽部の事務局を務める、人事部の内山恵介マネージャー
サポーターズ倶楽部の事務局を務める、人事部の内山恵介マネージャー

 人事部の内山恵介マネージャーによると、元社員に向けて求人情報を出せる仕組みを作ることは、実は女性社員に安心感を与え従業員満足度を高めるのだという。会社が代替要員を機動的に集める仕組みを持っていると知れば休業制度を利用しやすくなるからだ。「産休を取る社員が不安に思うのは自分が抜けた穴をどうやって埋めるのか、ということ。そのことが心配で産休を取りづらいと感じ妊娠を期に退職するケースもある」と内山マネージャーは説明する。

 従って、サポーターズ倶楽部の運用成果を測る指標としては、元社員の採用数だけでなく、女性社員から申請された育児休暇の申請件数も含まれる。これは2008年2月時点で前年度比40%も増えている。

 こうした取り組みの背景にあるのは、松澤健会長ら経営陣の「これからの日本興亜損保に必要なのは、多様な人材と風通しの良い社風」という信念だ。

 同社は2004年7月に性差を問わずに社員が働ける環境を目指す「Lady,Go!プロジェクト」を発足させた。同プロジェクトが始まったきっかけは、松澤会長(当時社長)が人事部長から聞いたある数字であった。その年の女性総合職に内定していた13人のうち、実際に入社したのはたったの4人だった。内定辞退者に理由をたずねてみると、入社後の女性社員の受け入れ態勢に不安を感じたとの声が相次いだ。ちなみに当時、男性社員は119人が入社した。

 以来、総合職と一般職の区分をなくしたり、看護休暇を半日単位で取れるようにしたり、配偶者の転居に伴い転勤を認める制度を作ったりしてきた。

 一連の施策の効果は、2008年4月に入社予定の女性の数にも表れている。2008年4月に入社を予定している男性社員は117人で松澤会長を驚愕させた2004年とほぼ同じ。ただし女性は29人で当時のおよそ7倍。3年半におよぶ日本興亜損保の改革は学生にも理解されつつあるようだ。