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 みずほ銀行の「みずほマイレージクラブ」は2007年11月時点で利用者数が500万人を超える大規模な会員組織である。クレジットカード機能付きのキャッシュカードやATM(現金自動預け払い機)時間外手数料の無料化など,多数のサービスや特典を提供する。

 こうしたサービスの一つが,2004年11月に開始した「みずほマイレージクラブ[インターネットサービス]」である。これは,銀行口座など様々な情報を一つのWebページ内で閲覧できるようにするものだ。

計29のサービスを一元的に把握

写真1●みずほ銀行ローン・リテール業務部リテール営業開発チームの小野雅史氏
写真1●みずほ銀行ローン・リテール業務部リテール営業開発チームの小野雅史氏

 みずほマイレージクラブ[インターネットサービス]は,同行のインターネット・バンキング・サービス「みずほダイレクト」の口座はもちろんのこと,三井住友銀行や三菱東京UFJ銀行など他行のインターネット・バンキングの口座情報,UCカードやセゾンカードなどのクレジットカードの利用明細,NTTドコモの電話料金,ANAマイレージクラブのマイル数といった,計29サービスの情報を一つのWebページに集約して表示する。ユーザーは同サービスにログインすれば,複数のサービスに分散する金融資産や各種の情報を,一元的に把握できる。

 みずほ銀行ローン・リテール業務部リテール営業開発チームの小野雅史氏(写真1)は「個人のお客様に,長くみずほ銀行を使ってもらえる基盤となるサービスとして提供している」という。

「スクレイピング」で情報収集

 インターネット上に分散する複数サービスの情報を,一つのWebページに集約する技術として,最近はWeb API(application programming interface)を使う方法が一般的だ。しかしみずほ銀行は,もっと“手軽”な「スクレイピング」(scraping)と呼ぶ手法を採用した。これが同サービスのシステム面での最大の特徴である。

 スクレイピングの利点は,情報収集の対象となるサイトの運営会社やシステムがバラバラでも,容易に情報の取得が可能なこと。通信もインターネット経由であり,専用のWAN網などは必要ない。

 その仕組みは分かりやすい。各種サービスのWebサイトに対して,本来であればユーザーがそれぞれIDとパスワードを入力し,ログインして閲覧するところを,ソフトウエアが代行し情報を集約する。そのためのサーバーが「スクレイプ・サーバー」である(図1)。ユーザーは,みずほマイレージクラブ[インターネットサービス]の利用開始時に,各サービスのIDとパスワードをデータベースに登録する。スクレイプ・サーバーはそのデータベースの情報を基に,各サービスにログインし,情報を得る(写真2)。

図1●「スクレイピング」という技術を利用する「みずほマイレージクラブ[インターネットサービス]」のシステム
図1●「スクレイピング」という技術を利用する「みずほマイレージクラブ[インターネットサービス]」のシステム
スクレイピング(scraping)は,スクレイプ・サーバーがユーザーに代わって各種のWebサイトに自動ログインし,情報を取得する技術。対象のWebサイトに手を加える必要はない。
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写真2●みずほマイレージクラブ[インターネットサービス]では一つの画面で銀行口座や証券口座など,計29のサービスの情報を閲覧できる
写真2●みずほマイレージクラブ[インターネットサービス]では一つの画面で銀行口座や証券口座など,計29のサービスの情報を閲覧できる

 みずほ銀行が利用するのが,野村総合研究所のASP(application service provider)型情報集約サービス「InterCollage」(インターコラージュ)である。システムの自社開発も選択肢にはあったが,継続的なサービスの改善と運用,コストを考えると,InterCollageの利用が有利だと判断した。システムには,スクレイプ・サーバー以外にも,同サービスのWebサーバーと,ユーザーが持つ各種サービスのIDとパスワードを暗号化して保管するデータベースなどがある。

 スクレイプ・サーバーが情報を取得するタイミングは,みずほダイレクトなどのみずほ銀行関連のサービスであればユーザーのログイン時,それ以外のサービスは,ユーザーが「更新」ボタンを押したときである。システムから見ると,みずほダイレクトも,他のサービスと同じようにスクレイピングの対象の一つとなる。なお,ユーザーが使っている各種サービスのIDやパスワードを変更した場合は,みずほマイレージクラブ[インターネットサービス]に登録しているIDとパスワードの設定も変えなければならない。

情報取得の可否を日々チェック

 手軽な情報集約を可能にするスクレイピングだが,弱点もある。「Flash」のユーザー・インタフェースを用いたWebサイトには対応できないこと,そして,収集先のWebページの作りが変わると情報が取得できなくなることだ。

 そこで運用を担当する野村総合研究所では,毎日,スクレイピングができるかどうかをチェックし,みずほ銀行に報告している。Webページの構成が変わり,スクレイピングができなくなった場合は,即座にシステムを改修する。「スクレイピングできなくなる頻度は,月に1度あるかないか程度。改修は早ければ当日。遅くても2営業日で完了する。これまで顧客から情報を『見られない』というクレームは一度も来ていない」(小野氏)という。

 みずほ銀行では,今後も同サービスを充実させる考え。情報を取得できるサービスを順次増やしていく計画だ。

ここがポイント

目的:サービスを充実し顧客の継続利用を促す

利用サービス:野村総合研究所のInterCollage

導入時期:2004年11月から順次

効果:ネット上に分散する多数の情報を集約・一覧表示でき,顧客へのサービスを向上

●会社・プロフィール
本店: 東京都千代田区
資本金: 6500億円
従業員数: 1万6400人
株主: みずほフィナンシャルグループ(100%)

●ネットワーク・プロフィール
野村総合研究所(NRI)がASP型で提供する情報集約サービス「InterCollage」を使い,複数Webサイトから情報収集。システムはNRIのデータ・センターで運用。